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近年まれにみるトヨタの大失敗作MIRAI、使い物になるのか?

トヨタが「ハイブリッドモデルの次なるエコ(?)な車」として発売したのがこのMIRAIという車です。
いわゆるFCVと呼ばれる車ですが残念ながら全く売れていないようです。
その理由として「価格が高いから」ということが言われていますが実際にはそれだけではないようです。

この車がどうして売れないか、そして車としてのせいのうはどうかといったところを見ていきましょう。

トヨタ・MIRAIってこんな車

トヨタは当初、いわゆる「エコカー」と呼ばれる車として電気自動車EVの開発をしていました。
しかし、もともと持っていたEVに関する技術が低かったこと、「三河の機織器商人」の悪い癖である「とにかく1円でも安く作る」が出てしまったことによる大容量のバッテリー開発をすることができなかったことなどから、EVの開発は頓挫してしまいました

しかし、EVの開発をしたことで一応、「電気を使って走る」というシステムの技術は得ることができたため、その技術を使って「妥協策」として新たな走行システムを開発したのです。
そのシステム、技術を使って作られたのが「ハイブリッドカー」の「プリウス」です。

このプリウス、どういうわけか3代目モデルの発売に合わせたかのように始められた「エコカー補助金」や「エコカー補助金」という政府の販売促進策によって大ヒットモデルとなり、そしてそれと同時に「ハイブリッドモデル」「ハイブリッドシステム」というものが広く普及することになりました。

しかし、唯一の独自性であったハイブリッドカーが普及してしまったということはトヨタにとってあまり好ましくない状況で、だからといって三菱・日産に後れを取る形で過去に失敗をしてしまったEVに転換するのもしゃくにさわる・・・何か新しいものないのか?っということで開発されたのが水素燃料電池車FCVのMIRAIです。

MIRAIは2014年に発売されたモデルで、現在もそのモデルが現行モデルとして発売されています。

MIRAIが大失敗モデルになりつつある理由

MIRAIはFCVのパイロットモデルとして作られている車ですから、いわゆる「公道テストカー」的な意味合いのある車です。
公道テストのメインとなっているのは、FCVの根幹である水素燃料電池システム「TFCS(トヨタフューエルセルシステム)」が正常に機能するか、安全性はどうか、水素を補充するためのインフラにどう対応できるのか?・・・などといったこととされています。

これだけを聞けば、新しい仕組みを持つ車でよくあることですので特にこれといって問題はないのですが、この車はFCVです。
FCVは車の中に可燃性が非常に高い「水素」を大量に抱えたまま走る車です。
それが「隠密非公開公道テスト」を行うということは、すなわち・・・

「水素タンクから水素が漏れないか?」
「突然、水素が爆発してヒンデンブルク号爆発事故みたいにならない?」

といったことを、大金を払ってこの車を買った人に運転させた上で、たくさんの人がいるところの中で行っているということです。
これは、石油が満載のタンクローリーよりも怖いことです。
なぜならタンクローリーはきちんと整備さえされていれば、まず内部の石油が漏れることはなく、更にそこから爆発事故や火災に繋がることはほぼありません。

しかし、FCVのMIRAIにおいては、水素漏れの心配、そこから爆発事故に至る心配が完全に払しょくされていない状態で市販されてしまい、それが公道を堂々と走っているのです。
これほど怖いことはありません。

多分、こういったことを薄々感じている方が多いのでしょう。
トヨタのために大事な自分の命、家族の命、周りにいる方の命を犠牲にすることはできないといったことから誰もこの車を買いません・・・これが1番目のMIRAIが売れない理由です。

2つ目の理由は、現実的ではないということです。
このモデルはFCVですので、燃料として水素が必要になります。
水素は非常に引火性が強い気体で取り扱いが難しく、ガソリンスタンドでのガソリンや軽油の扱い以上に危険を伴うものです。
それを必要とするこの車は、いつしかどこかで水素を補充しなければならないわけで「ガソリンスタンド」ならぬ「水素スタンド」・・・「水素ステーション」が必要になってくるのですが、それがいまだに数が少ない状態で2019年4月現在で107か所しかないのです。

日本国内において、ガソリンや軽油を販売するガソリンスタンドの数は約32000か所、EVやプラグインハイブリッドモデルが利用する充電スポットの数は20000か所以上ある中で、たった100か所程度では現実的ではありません。
プラグインハイブリッドモデルのようにバッテリーがなくなってもガソリンで走ればいい・・・ということもできないことから実用車として導入することはかなり難しいことになるわけです。

そして3つ目、販売価格が高すぎるということです。
これはパイロットモデルとしての宿命ともいえることなのですが、車格に対して明らかに価格が高すぎます。
パワースペックやボディサイズから見て、プリウスPHVと同格のモデルとして比較してみると・・・

・プリウスPHV:最大約426万円
・MIRAI:約747万円

300万円以上もの開きがあることがわかります。
300万円といったらもう1台そこそこの車を買うことができる金額です。

水素爆発による命の危険性、水素ステーションの少なさがある上のこの販売価格では、よっぽどの「トヨタ信者」かトヨタから恩恵を受けている人でない限り、買うことはないでしょう。

MIRAIの販売台数

MIRAIがどれだけ日本で不評なのかを販売台数で証明しておきましょう。

MIRAI プリウス
2014年(発売年) 7台 183614台
2015年 411台 127403台
2016年 950台 248258台
2017年 766台 160912台
2018年 575台 115462台
2019年3月まで 124台 36120台

トヨタ・MIRAIのモデル構成・グレード構成

MIRAIは公道テスト用のパイロットモデルとして発売されているモデルですので、モデル構成もグレード構成もなく、基本モデルだけを販売している形となっています。

基本モデル

このモデルには以下のような装備が採用されています

●MIRAIの主要装備

・215/55サイズタイヤ
・17インチ×7Jアルミホイール
・撥水機能付高遮音性ガラス使用UVカットフロントドアガラス
・IR・UVカット機能付高遮音性ガラス使用ウインドシールドガラス
・UVカット機能付高遮音性ガラス使用リヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシーリヤクォーターガラス
・UVカット機能付プライバシーバックウインドウガラス
・4灯式LEDヘッドランプ
・LEDサイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラー
・ToyotaSafetySense(旧・ToyotaSafetySense P)

プリクラッシュセーフティ
レーンディパーチャーアラート
レーダークルーズコントロール
ロードサインアシスト
オートマチックハイビーム

・先行車発進告知機能
・インテリジェントクリアランスソナー
・ブラインドスポットモニター
・スマートエントリー&スタートシステム
・本革巻き3本スポークステアリングホイール
・ステアリングスイッチ
・左右独立温度コントロールフルオートエアコン
・ナノイー機能
・シートヒーター合成皮革シート表皮
・運転席・助手席8ウェイパワーシート
・運転席・助手席電動ランバーサポート
・6スピーカー
・イモビライザーシステム+オートアラーム
・カラーバックガイドモニター
・ETC2.0ユニット

トヨタ・MIRAIの動力性能

MIRAIのパワーユニットはTFCS(トヨタフューエルセルシステム)と呼ばれる水素燃料電池システムが搭載されています。
このシステムは・・・

・FCスタック:発電機
・駆動用バッテリー:ニッケル水素バッテリー
・駆動用電気モーター:4JM型

で構成されているもので、FCスタックで発電した電気をバッテリーに蓄え、そのバッテリーに蓄えた電気で電気モーターを回して走るといった仕組みになっています。

FCスタックでの発電の仕組み

大雑把にいえばFCVは、「FCスタック内で行われる水素と酸素の化学反応によって得られた電気で走る車」ということになりますが、そのFCスタック内でどういったことが行われているのかということはあまり知られていません。
化学的なことでちょっと難しいことでもあるため、化学について知識があまりない方に対して説明のしようがないということもあると思いますが、やはりこの車を理解するためにはこの部分を理解しないわけにはいかないと思いますので、ここで簡単に説明しておきます。

まず水素と酸素ですが・・・

・水素は原子番号1番となる元素で、「核」のまわりに1つの電子を持つ元素
・酸素は原子番号8番となる元素で、「核」のまわりに2つ、更にその外側に6個、合計8個のの電子を持つ元素

となります。
核の周りにある電子というのは多重構造の円の上に位置することになっていて、核のすぐ外側の位置には2つの電子が、その外側の位置には8個の電子が、そして更にそれよりも外側の位置もすべて8個の電子がおさまるようになっています。
各位置についてすべての位置に電子が置かれている状態あれば電子は安定するのですが、まだ電子が入る余裕がある時は非常に不安定となるものなのです。

実は水素も酸素もこの電子が不安定な状態にある元素であって、水素の場合は電子が1つだけしかないので、2つの電子がおさまって安定する一番内側の位置で電子が常にフラフラしています。
対して、電子が8個ある酸素も、一番内側の位置には2つの電子がおさまり安定していますが、その外側にある8個で安定する位置には残りの6個がおさまり、電子2個分のスペースが空いているためこちらも不安定な状態となっています。

ここで覚えておいていただきたいのが・・・

・水素は1つの電子が不安定で、1つ分の「空き」がある状態になっている
・酸素は6つの電子が不安定で、2つ分の「空き」がある状態になっている

という点です。

そして電子が不安定な状態になっている元素同士をくっつけるとどうなるかというと、元素自体が常に安定を求める性質を持っていることから、不安定になっている電子が飛び出して、安定できる違う元素のところへ移動していってしまうのです。
実はこの電子の移動が「電流」ということになり、すなわちそれが電気となるのです。

これを水素と酸素にあてはめてみると・・・

・水素の1列目の位置にある不安定な電子1つが酸素の2列目の位置にある「空き」スペースに収まる

といった形になることで、水素から酸素へと電子が1つ飛び出していきます。

この電子の動きを電流となり、電気となることでFCスタックに「発電能力」がもたらされることになるのです。

パワースペック

●電気モーター
・形式:4JM型

●水素燃料電池システム:TFCS(トヨタフューエルセルシステム)
●バッテリー:ニッケル水素バッテリー

スペックは・・・

●電気モーター
・最大出力:154ps
・最大トルク:34.2kgf・m

※パワーウェイトレシオ:約12.0kg/ps

パワースペックとしては、実用型2リッターNAエンジンレベルとなりますが、電気モーターだけでの駆動ですので低速域から中速域での走りにはかなり余裕があります。

トヨタ・MIRAIの走行性能

FCVのパイロットモデルとして作られている車ですから走行性能などこれっぽっちも考えらえておらず、もし仮に考えられているとしてもまっすぐ安全に、乗り心地がよく走ることだけを追求されている程度ですので、普通の車としてみても大した性能は持っていません。

トランスミッション

MIRAIではEVと同様にトランスミッションを介さずに電気モーターの回転で走るように作られているので、トランスミッションという概念はありません。
ただ、だからといって電気モーターの回転を直に受けているわけではなく、一応ファイナルギヤで減速はされていますが、そのギヤ比は一定ですのでトランスミッションとはなりません。
ちなみに駆動輪はフロントタイヤとなります。

ボディ剛性・強度

このモデルは水素燃料電池を搭載したFCVと非常に先進的でオリジナリティの高い車として作られているのですが、それはあくまでも水素燃料電池システムのTFCSが搭載され、ガソリンタンクの代わりに水素ボンベを搭載することだけで、基本となる部分は既存モデルの「プリウスα」と全く同じです。

プラットフォームは中型低価格モデル向けのものとして作られている新MCプラットフォームで、これはプリウスα以外にもZVW30型プリウスやその兄弟車のCT200h、NX、ハリアー、SAI、HS250h、XA40型RAV4等にも使われているものです。
ホイールベースはプリウスαと全く同じ「2780mm」でそれ以外のシャシーのレイアウトなどもプリウスαと全く同じです。

なのでボディ剛性は・・・最悪です。
あれだけ高い価格をつけているのにシャシーやフレームなどに使われている鋼材はコスト削減用の質の悪いもの以外の何物でもありませんし、フレームの鋼材の厚みもまるで軽自動車並みです。
ブリキのおもちゃのような作りがされていますが、ただこのモデルではボディ補強とボディの変形による水素漏れ、水素爆発を防ぐために構造用接着剤の流し込みやスポット溶接増し、FCスタック自体を補強パーツとして使うなどといった策が取られていることからプリウスやプリウスαよりは若干しっかりとしたフレームになっています・・・あくまでも「プリウスやプリウスαと比べて」の話ですから、このクラスの乗用車としてはトヨタの車らしくかなり軟弱といえるでしょう。

サスペンション構造

シャシーがプリウスαと同じですのでサスペンション構造も全く同じです。

・フロントサスペンション:マクファーソンストラット
・リヤサスペンション:トーションビーム

まあ、安全にまっすぐ走るための車ですのでこれでいいのかもしれません。

トヨタ・MIRAIの燃費性能

FCVに対して燃費性能というのもおかしな話ですが、ここではハイブリッドモデルのZVW50型プリウスと比較しながら1km走るのにどれだけの燃料費を算出してみたいと思います。

まずMIRAIですが、満充填で走れる航続距離は・・・

・カタログ値:約650km
・実際値:約400km

となります。
次に燃料費ですが、水素ステーションでは「1kgあたり何円」という形で販売されており、ある水素ステーションでは・・・

・1kg=1000円

で販売されています。

MIRAIの122.4リットルの容量がある水素タンクを70Mpaの圧力で満充填するとkg換算で「約7.9kg」となりますので・・・

・満充填容量7.9kg×水素単価1000円=約7900円

となります。

そしてこの満タンになった状態で走ることができる距離はカタログ値では約650kmといっていることから1kmあたりの燃料費となるのは・・・

・満充填費用7900円÷航続距離(カタログ値)650km=12.1円

となりますが、トヨタの車らしくFCVの航続距離データにしてみても実際の航続距離とカタログ値がかなりかけ離れているのでその実際の航続距離で計算しなおしてみると・・・

・満充填費用7900円÷航続距離(実際値)400km=19.75円

となり、こちらが正しい数値となります。

では次にプリウスを見ていきたいと思います。
プリウスは・・・

・カタログ燃費(JC08モード):最大37.2km/L
・実燃費:約25km/L

という燃費性能を持ちます。
そしてガソリン代ですが、ここではリッターあたり150円のレギュラーガソリンで計算してみます。

カタログ燃費では150円37.2km走ることができるということで・・・

・ガソリン1リッターあたりの単価150円÷カタログ燃費37.2km/L=約4.03円

となりますがこちらも実燃費とはかなりかけ離れているので実燃費で再計算してみますと・・・

・ガソリン1リッターあたりの単価150円÷実燃費25km/L=約6円

となります。

・MIRAI:19.75円/km
・プリウス:6円/km

結果的にハイブリッドモデルの方が安く乗ることができるということがわかりました。
・・・ということは燃料費が高くなるMIRAIをあえて選んだ方は初代プリウスの時によく言われていた「偽善者」と呼ばれる可能性が、MIRAIも「偽善車」と呼ばれる可能性が高いということになります。

トヨタ・MIRAIのライバルは?

MIRAIはFCVです。
このMIRAI以外でFCVとして販売されているモデルといえば、ホンダの「クラリティFUEL CELL」しかありません。

クラリティFUEL CELLは、2002年にリース発売された「FCX」、2008年にリース発売された「FCXクラリティ」に続く第3弾モデルとして2016年に発売されたFCVです。

パワースペック比較

●MIRAI

・電気モーター:1NM型

・最大出力:154ps
・最大トルク:34.2kgf・m

●クラリティFUEL CELL

・電気モーター:MCF4型

・最大出力:140ps
・最大トルク:30.6kgf・m

数字的にはわずかにMIRAIの方が優れている形となりますが、実際に運転してみても違いを感じることはないようです。

1kmあたりの燃料費比較

●MIRAI

・タンク容量:122.4リットル
・タンク圧力:70Mpa

・満充填容量7.9kg×水素単価1000円=約7900円
・満充填費用7900円÷航続距離(実際値)400km=19.75円

1kmあたりの燃料費:19.75円

●クラリティFUEL CELL

・タンク容量:141リットル
・タンク圧力:70Mpa

・満充填容量9.1kg×水素単価1000円=約9100円
・満充填費用9100円÷航続距離(実際値)700km=13円

1kmあたりの燃料費:13円

さすが日本一のFCV技術をもつ自動車メーカーのホンダです。
航続距離も燃料効率もMIRAIよりもずば抜けて優れたものを持っているようです。

販売価格帯比較

●MIRAI:7274880円
●クラリティFUEL CELL:7672320円

約40万円ほどMIRAIの方が安くなっています。
まあ、トヨタの車は「安くてナンボ」ですからあたりまえなのかもしれません。
と、言っても700万円オーバーもする車ですので、高いことには違いはありません。

まとめ

まだまだ始まったばかりのFCVですが、前述しましたようにとにかくまだ実用段階に入っていない状態で、理想だけが先行している状態といっていいでしょう。

その中で補助があるとはいっても700万円を軽く超える大衆モデルとして発売してしまっては売れないのも確か、「大失敗へまっしぐらモデル」になるのも確かでしょう。

当のトヨタもこの車に見切りつけてしまったようで、とうとう情けなくも、ハイブリッドシステムの開発のきっかけとなり、一時は挫折をしたEVに力を入れていくことを決めたようです。

果たしてFCVは、MIRAIは、一体どうなってしまうのでしょうか。

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