トヨタ

大衆車の親分トヨタ・アリオン、本当に「クール・スポーティー・セダン」なのか?

大衆車といえば「THE・大衆車」と呼べるほど定着しているトヨタのカローラシリーズですが、このカローラシリーズは小型大衆車で、どちらかというと経済力が低~中程度の方が買う車です。
ではそれ以上の経済力がある方で大衆車が欲しいと思っている方はどうすればいいのか?・・・大丈夫です、トヨタにはそういった方向けの格上の大衆車、カローラシリーズの親分ともいえるモデルを多数用意しています。
その1台が、このアリオンという車です。
このアリオン、大衆車でありながら「クール・スポーティー・セダン」などといった分不相応ともいえるトンチンカンなキャッチフレーズを使った販売戦略にでているようです。

「クールでスポーティーなセダンですかぁ~・・・・」

本当でしょうか?大衆車にこんなこと言っていいのでしょうか?
それならきっちりと検証してみましょう。
本当に「クールでスポーティーなセダン」なのかを・・・。

ここでは「クール・スポーティー・セダン」というキャッチフレーズが妥当かどうかを見ていきますので、ボディのデザインとか内装とか積載能力とか使い勝手の良し悪しなどといった「カタログを見ればわかるだろ!」といったところの評価は一切しません。

トヨタ・アリオンってこんな車

トヨタのアリオンは2001年に発売された中型セダンモデルで、2019年5月現在で2代目モデルが発売されています。
このモデルには「プレミオ」と呼ばれる販売チャネル違いの兄弟車があり、アリオンはトヨタ店販売、プレミオはトヨペット店販売となっています。

アリオンとしては2019年現在2代目モデルが発売されている形となっていて、モデル的には比較的新しい車ということになりますが、実はこの車は過去にトヨタから発売されていた大衆車のカリーナの後継モデルなのです。
カリーナは、「ダルマ」とか「リフトバック」などといった愛称で親しまれてきた初代セリカのセダンモデルとして作られたモデルで、プラットフォームを含めたセリカと同じコンポーネントを使って作られていました。
モデルチェンジサイクルもほぼ同じとして、5代目モデルのT170系型までセリカと進化を共にしました。

1992年に発売されたT190系型からはセリカとは違うコンポーネントを使うモデルとなりました。
しかしだからといってオリジナルのプラットフォームやコンポーネントが与えられたということではありません・・・第一、コスト削減を最優先としているトヨタがそのようなことをするわけがありません。

共用するコンポーネントが変わっただけで流用モデルであることには変わりはありません。
ではどんな車と同じコンポーネントが使われたのかと今度はセリカ・カリーナ兄弟車が発売される以前から中型大衆セダンモデルとして発売されていたコロナです。

1992年にT190系型へとモデルチェンジしてコロナと同じコンポーネントを使った兄弟車となったのです。
コロナとの兄弟関係も販売チャネル違いの兄弟車という形となり、カリーナはトヨタ店販売、コロナはトヨペット店販売となっていました。

この兄弟関係はカリーナとしては7代目モデル、コロナとしては11代目モデルとなるT210型まで続きました。
そして2001年に両モデルは、販売台数の減少とコンセプトの見直しをするために共に生産終了となり、その後継モデルとしてカリーナからアリオンへと進化していったのです。

T240系型アリオンが発売されたのは2001年のことで、カリーナのイメージとは全く違う大衆セダンモデル、それもカローラシリーズの上を行くわずかに高級感を持たせたいわゆる「親父向け大衆モデル」として作られるようになりました。

2019年5月現在で現行モデルとなっているT260系型になったのは2007年のことで、基本的には初代モデルのコンポーネントを流用したキャリーオーバーモデルとなりました。

しかしトヨタは、ここで何を思ったのかこのモデルになったタイミングである策を取りました。
その策とは「アリオンの若年化」です。

この若年化策によって、アリオンは全く同じ車体であるプレミオよりも若年層が好むようなエクステリアデザインがとられ、販売チャネル違いの兄弟車の中でも・・・

・アリオン:若年層向けのスポーティー高級大衆セダン
・プレミオ:中・高齢者向けの無難な高級大衆セダン

といった違うターゲット層、雰囲気を持つ兄弟モデルに仕立てようとしたのです。

トヨタ・アリオンの若年化

そもそも「大衆セダン」というカテゴリーの属するだけで、販売ターゲット層が中・高齢者と偏ったものになるアリオン、その車を若年層にも売りつけてもっともっと儲けを出したトヨタが取ったのが、「若年化作戦」です。

需要が偏ることで販売のチャンスが減ることを極端に嫌うトヨタは、昔からよくこういった販売戦略を取ってきました。
最近で記憶に新しいのが「カローラシリーズの若年化」です。

カローラシリーズもこのアリオンと同じように大衆車というカテゴリーにあるモデルで、需要の偏りとホンダからフィットが発売されたことで販売台数が頭打ちとなってしまい、それを打開するためにとった策が「ターゲット層の若年化」で、それまで車を生活の道具としてしか見ていない中・高齢者だけが買っていたカローラを若い人にも買ってもらおうとしたわけです。

しかし、長い年月をかけて「親父車」といったイメージがこびりついてしまったものを取るのはかなり大変なことで、トヨタは現在までにいろいろな策を取って若年化をはかろうとしてきたのです。

・宣伝広告によるイメージ戦略・・・失敗
・カローラとは全く関係ない車をカローラ・ルミオンとして販売・・・大失敗
・カローラシリーズに「アクシオ」「フィールダー」というサブネームをつけた・・・失敗
・ハイブリッドモデルを追加した・・・ある程度効果あり
・デザインを攻撃的なものとした・・・失敗
・プリウスの流用モデルのオーリスをカローラ・スポーツとして販売した・・・大失敗

低燃費ブームによってわずかに効果がでた「ハイブリッドモデルの追加」以外は、ことごとく失敗、特に関係のないモデルを無理やりカローラシリーズとして販売すると作戦はカローラ・ルミオンも現在のカローラ・スポーツも大失敗に終わってしまい、結局は若年化を図る前と同じ「親父車」に落ち着いてしまいました。

過去にこれだけの大失敗があるのにもかかわらず、全く同じ目的を持つ作戦をアリオンに対してやろうとしているのですからトヨタの販売戦略もたいしたことはないようです。

そしてその作戦のひとつとして行っているのが、どうやら「クール・スポーティー・セダン」というキャッチフレーズを用いたイメージ戦略であるようです。

トヨタ・アリオンのモデル構成・グレード構成

アリオンにはエンジン排気量の違いによる3つのモデルが用意されています。

1.5リッターエンジンモデル

1.5リッターエンジンモデルには1つのグレードとサブグレードが2つ用意されています。
駆動方式はFFの2WDだけとなります。

・A15 グレード(FF)
・A15 Gパッケージ グレード(FF)
・A15 G-plusパッケージ グレード(FF)

最廉価グレードの「A15」グレードを基準として、その装備に・・・

・ブラックカラードアサッシ
・Toyota Safety Sense プリクラッシュセーフティ
・Toyota Safety Sense レーンディパーチャーアラート
・Toyota Safety Sense オートマチックハイビーム
・先行車発進告知機能
・インテリジェントクリアランスソナー
・コンライト
・レーンディパーチャーアラート用ステアリングスイッチ
・スマートエントリー&スタートシステム
・専用ファブリック シート生地
・専用ファブリック ドアトリムオーナメント生地
・ファブリック センターピラー&ルーフサイドインナーガーニッシュ
・シートバックポケット
・花粉除去モード付オートエアコン
・プッシュ式ヒーターコントロールパネル
・エンジンスイッチ+室内照明 イルミネーテッドエントリーシステム
・リヤ読書灯
・イモビライザー

といった装備を追加したのが「A15 Gパッケージ」グレードで、更に・・・

・スーパーUVカットフロントドアグリーンガラス
・UVカット機能付プライバシーリヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシーバックウィンドウガラス
・LEDヘッドライト
・フロントフォグランプ風タウンランプ
・6灯LEDハイマウントストップランプ
・本革巻き+木目調3本スポークステアリングホイール
・本革巻き+木目調セレクターノブ
・合成皮革+ファブリック シート生地
・ランバーサポート付運転席8ウェイパワーフロントシート
・電動式運転席シート上下アジャスター
・合成皮革 ドアトリムオーナメント生地
・ナノイー機能
・6スピーカー

を追加したのが「A15 G-plusパッケージ」グレードとなります。

1.8リッターエンジンモデル

1.8リッターエンジンモデルには1.5リッターエンジンモデル同様のグレード構成が設定されていますが、このモデルにだけスタンバイ式4WDの4WDモデルの選択肢が全グレードに与えられています。

・A18 グレード(FF・4WD)
・A18 Gパッケージ グレード(FF・4WD)
・A18 G-plusパッケージ グレード(FF・4WD)

A18」グレードの装備に・・・

・195/65サイズタイヤ(4WDモデルのみ)
・15インチ×6Jスチールホイール(4WDモデルのみ)
・本革巻き3本スポークステアリングホイール
・PVC+木目調セレクターノブ
・ブラックカラードアサッシ
・Toyota Safety Sense プリクラッシュセーフティ
・Toyota Safety Sense レーンディパーチャーアラート
・Toyota Safety Sense オートマチックハイビーム
・先行車発進告知機能
・インテリジェントクリアランスソナー
・コンライト
・レーンディパーチャーアラート用ステアリングスイッチ
・スマートエントリー&スタートシステム
・専用ファブリック シート生地
・専用ファブリック ドアトリムオーナメント生地
・ファブリック センターピラー&ルーフサイドインナーガーニッシュ
・シートバックポケット
・花粉除去モード付オートエアコン
・プッシュ式ヒーターコントロールパネル
・エンジンスイッチ+室内照明 イルミネーテッドエントリーシステム
・リヤ読書灯
・イモビライザー

を追加したのが「A18 Gパッケージ」グレードで、その装備に更に・・・

・195/55サイズタイヤ(FFモデルのみ)
・16インチ×6Jアルミホイール(FFモデルのみ)
・195/65サイズタイヤ(4WDモデルのみ)
・15インチ×6Jアルミホイール(4WDモデルのみ)
・スーパーUVカットフロントドアグリーンガラス
・UVカット機能付プライバシーリヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシーバックウィンドウガラス
・LEDヘッドライト
・フロントフォグランプ風タウンランプ
・6灯LEDハイマウントストップランプ
・本革巻き+木目調3本スポークステアリングホイール
・本革巻き+木目調セレクターノブ
・合成皮革+ファブリック シート生地
・ランバーサポート付運転席8ウェイパワーフロントシート
・電動式運転席シート上下アジャスター
・合成皮革 ドアトリムオーナメント生地
・ナノイー機能
・6スピーカー

を追加したのが1.8リッターエンジンモデルの中で事実上の最上級グレードとなる「A18 G-plusパッケージ」グレードです。

2リッターエンジンモデル

2リッターエンジンモデルには1つのグレードと1つのサブグレードが設定されており、駆動方式はFFの2WDのみとなります。

・A20 グレード(FF)
・A20 G-plusパッケージ グレード(FF)

装備としては「A20」グレードの装備に以下の装備を追加したのがサブグレードの「A20 G-plusパッケージ」グレードとなります。

・195/55サイズタイヤ
・16インチ×6Jアルミホイール
・クルーズコントロール
・スーパーUVカットフロントドアグリーンガラス
・UVカット機能付プライバシーリヤドアガラス
・UVカット機能付プライバシーバックウィンドウガラス
・LEDヘッドライト
・フロントフォグランプ風タウンランプ
・6灯LEDハイマウントストップランプ
・本革巻き+木目調3本スポークステアリングホイール
・本革巻き+木目調セレクターノブ
・合成皮革+ファブリック シート生地
・ランバーサポート付運転席8ウェイパワーフロントシート
・電動式運転席シート上下アジャスター
・合成皮革 ドアトリムオーナメント生地
・ナノイー機能
・6スピーカー

トヨタ・アリオンの動力性能

アリオンは幅広いターゲット層を狙うモデルであるため、パワーユニットもトヨタの単一モデルとしては異例の3種類のエンジンが用意されています。

1.5リッターNAガソリンエンジン

・エンジン型式:1NZ-FE型
・エンジン排気量:約1.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ

スペックは・・・

・最大出力:109ps/6000rpm
・最大トルク:13.9kgf・m/4800rpm

※リッターあたり:約72ps
※パワーウェイトレシオ:約11.1kg/ps

このエンジンは、ヴィッツやポルテ、スペイド、サクシード、プロボックスなどといったトヨタの小型モデルに多く使われている1.5リッターエンジンの定番となるものです。
エンジンバリエーションの一番下のクラスのエンジンということでそれほど期待はしていませんが、リッターあたり72ps、パワーウェイトレシオ11kg/ps台で「クール・スポーティー・セダン」を語ってはいけません。

1.8リッターNAガソリンエンジン

・エンジン型式:2ZR-FAE型
・エンジン排気量:約1.8リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ

スペックは・・・

・最大出力:143ps/6200rpm
・最大トルク:17.6kgf・m/4000rpm

※リッターあたり:約79.5ps
※パワーウェイトレシオ:約8.6kg/ps

このエンジンはトヨタのモデルでもだんだん使わなくなってきた古いエンジンで、2019年現在ではこのアリオンと兄弟車のプレミオ、そしてカローラ・フィールダーなどといった数車種だけに採用されているものです。
採用車種が少なくなった理由としてパワーがないことと低燃費装備のひとつとして付けられているバルブマチックの制御が難しく数々のトラブルを誘発させてしまっていることです。

1.5リッターエンジンよりはパワーはありますが、リッターあたり79.5psではまだまだ「クール・スポーティー・セダン」にふさわしいものとはいえません。

2リッターNAガソリンエンジン

・エンジン型式:3ZR-FAE型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ

スペックは・・・

・最大出力:152ps/6100rpm
・最大トルク:19.7kgf・m/3800rpm

※リッターあたり:約76ps
※パワーウェイトレシオ:約8.3kg/ps

このエンジンはトヨタの2リッタークラスで実用型エンジンとして採用されているもので、ノア3兄弟車やハリアーのガソリンエンジンモデルなどに採用されているものと同じです。
このエンジンにもあの忌々しいバルブマチックが搭載されており、大量の未燃焼ガスとスラッジによってたくさんの「隠れリコール」を生み出しています。

2リッターエンジンで152ps、リッターあたり76ps、そして大衆ファミリーミニバンのノア3兄弟車と同じエンジン・・・これで「クール・スポーティー・セダン」を語ってはいけません。
せめてリッターあたり100ps以上のパワースペックを持っていないと「スポーティー」という言葉は似合いません。

トヨタ・アリオンの走行性能

カローラシリーズよりは上のクラスの大衆セダンといっても所詮は大衆モデルで、無難に走ればいいだけの車です。
イメージ戦略でいくら「クール・スポーティー・セダン」といった言葉を使っても大衆車は大衆車です。

トランスミッション

「クール・スポーティー・セダン」というぐらいですからマニュアルトランスミッションや多段式オートマチックトランスミッションが採用されているはずですが…なんとCVTだけではありませんか!

トヨタでは「Super CVT-i」と呼ばれているCVT、燃費性能の向上のためにトルクコンバーターとベルト変速機の間にクラッチを入れるとか、ブレーキペダルを踏んで減速した時に変速比を低くするなどといったいろいろ工夫がされているようですが、結局はごく普通の低燃費のためのCVTであって、構造もトルクコンバーターと金属ベルトを使った無段変速機が組み合わされただけのものです。

マニュアルモードはあってもそれも所詮は疑似有段変速であり、そのような機能はファミリーカーの中型ミニバンでも採用されているものですから、これで「クール・スポーティー・セダン」を語ってはいけません。

ボディ剛性・強度

そもそもアリオンもトヨタの車です。
コスト削減のためにフレームやシャシーを作るのに使う鋼材の質を低下させ、更に使用量を減らすため各部品に厚みを薄くするといったことをしているのですからどう見てもボディ剛性が高いわけがありません。

「クール・スポーティー・セダン」ならもっと走行性能を高めるような、サスペンションがきちんと仕事をするようなしっかりとした剛性、強度を持つボディ、フレーム、シャシーを持たせてあげないといけません。

サスペンション構造

「クール・スポーティー・セダン」をうたって商売をするのであれば、せめて四輪独立懸架を採用していなければいけませんが・・・またもやがっかりさせられます。
定番のフロントサスペンションにマクファーソンストラット、リヤサスペンションにFFモデルは最悪ともいえるトーションビーム、4WDモデルだけにダブルウィッシュボーンといった形です。

せっかく4WDモデル用にダブルウィッシュボーンを用意したのですから、「クール・スポーティー・セダン」をうたうぐらいならFFモデルにもそのままダブルウィッシュボーンにすればよかったのに・・・と思います。
そうすればここだけはほめることができたのに残念です。

結局は走行性能よりコストパフォーマンスを優先した形を取ったわけです。

トヨタ・アリオンの燃費性能

●1.5リッターエンジンモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大19.2km/L
・実燃費:約14km/L

●1.8リッターエンジンモデル(2WDモデル)

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.4km/L
・実燃費:約12km/L

●1.8リッターエンジンモデル(2WDモデル)

・カタログ燃費(JC08モード):最大14.8km/L
・実燃費:約10km/L

●2リッターエンジンモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大15.6km/L
・実燃費:約8km/L

燃費性能を向上させるために各モデル共通装備として・・・

・CVT
・オルタネーター制御
・可変バルブタイミング
・電動パワーステアリング

が採用されているほかに

●1.5リッターエンジンモデル

・アイドリングストップ機構

●1.8リッターエンジンモデル、2リッターエンジンモデル

・バルブマチック

が採用されています。

「クール・スポーティー・セダン」としてみるには燃費性能はたいして重要なことではありませんのでどうでもいいのですが、大衆モデルとして見るのであれば・・・カタログ燃費は立派ですが、実燃費には少々物足りなさを感じます。

トヨタ・アリオンのライバルは?

アリオンのライバルといえば、通常であれば兄弟車であるプレミオがまだコロナといわれていた時代に販売台数を争った歴史があるブルーバード、その後継モデルとして作られた「シルフィ」が妥当ということになります。

しかし、ここでは「アリオンはクール・スポーティー・セダンである」というスタンスであることから同じようなクラスのセダンモデルでスポーティーをうたって発売されているホンダの「シビックセダン」と比較してみたいと思います。

シビックセダンはたった1つしかモデルがないのでそれで比較しますが、アリオンは3つもモデルがありますので、その中からスポーティーなセダン対決ということから一番パワーのある2リッターエンジンモデルで比較します。

エンジンスペック比較

●アリオン

3ZR-FAE型・2リッター直列4気筒DOHC NAエンジン

・最大出力:152ps/6100rpm
・最大トルク:19.7kgf・m/3800rpm

●シビックセダン

L15B型・1.5リッター直列4気筒DOHCターボエンジン

・最大出力:173ps/5500rpm
・最大トルク:22.4kgf・m/1700rpm~5500rpm

シビックセダンのエンジンは、エンジン排気量がアリオンのものより500ccも小さい割にはターボチャージャーによる過給で2リッターNAエンジンのパワーを軽々と超えます。
リッターあたり115psのパワー、「クール・スポーティー・セダン」を語るぐらいならこれぐらいないといけません。

燃費比較

●アリオン(「A20」グレード)

・カタログ燃費(JC08モード):最大15.6km/L
・実燃費:約8km/L

●シビックセダン

・カタログ燃費(JC08モード):最大19.4km/L
・実燃費:約16km/L

カタログ燃費もさることながらターボエンジンといってもエンジン排気量が小さいことから実燃費もシビックセダンの方が優れているようです。

販売価格帯比較

アリオンは2リッターエンジンモデル全体で見てみます

●アリオン:約241万円~約266万円
●シビックセダン:約265万円

パワースペックもアリオンの負け、燃費性能もアリオンの負けとなりましたが販売価格だけは同等となっているようです。
これではアリオンを買う理由が見つかりません。

まとめ

「クール・スポーティー・セダン」のアリオン、どう見てもキャッチフレーズ負けしているようです。

パワーもない、走らない、曲がらない、燃費もそれほど良くない・・・燃費性能以外のものはすべてにおいてそれなりに優れていなければいけないのにこの有様はまさに普通の大衆車ではありませんか。

どうやら一所懸命になってアリオンオーナーの若返りを図っているトヨタの思惑が強すぎて少々空回りしてしまっているようです。
それもそのはず、「無難」が最大の武器である大衆セダンのアリオンにたいそうな「クール・スポーティー・セダン」などといったキャッチフレーズをつけてしまってはハードルを高めてしまうだけです。

「クール・スポーティー・セダン」を3つに分けて考えるとすれば、「セダン」であることには違いはありませんのでOKです。
次に「クール」かどうかですが、これは味覚と同じで人それぞれですのであえていいとも悪いとも言いませんが、百歩譲って「クールである」としておきましょう。
そして最後に「スポーティー」かどうかという点ですが、先ほど書きました通りそれとは程遠い車であることがわかっています。

なので、このキャッチフレーズは却下して、「無難」という意味の言葉を入れて・・・

「クール・セーフ・セダン」

とか、標準的であることから・・・

「クール・スタンダード・セダン」

に変更した方がいいかと思います。
それだけの車ですから・・・。

カローラシリーズの若返り作戦と同じような、トヨタにとっては残念な結果になりそうです。

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