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若年ファミリーに人気のトヨタ・ヴォクシー、ノアとの違いは見た目だけ?

大衆ファミリーミニバンとして人気の高い中型ミニバン、その中で多く買われているのがトヨタのノア3兄弟車です。
ノア三兄弟車とはカローラ店販売のノア、ネッツ店販売のヴォクシー、そしてある理由から急遽作られることになったトヨペット店、トヨタ店販売のエスクァイアで構成される販売チャネル違いの兄弟車のことを言います。
その中、ノアとヴォクシーは古くから兄弟モデルとして発売されている関係上、どうしても比較されがちで、いろいろなところを比べられて「ああでもないこうでもない」言われるわけですが、不特定多数の方が気がついていないことがあります。
それが需要傾向の違いです。

では、その需要傾向の違いを見るのと同時にこの車の中身の性能を見ていきましょう。

トヨタ・ヴォクシーってこんな車

ヴォクシーは古くから兄弟車とされているノアと同じ生い立ちを持ちます

始めこそは「パブリカ」と「カローラ」といったようにベース車両は違いますが、それをベースに作られていた「ライトエース」と「タウンエース」の途中から兄弟車となり、その兄弟関係を保ったまま1996年には、ミニバンブームにのっかるために「ライトエースと・ノア」「タウンエース・ノア」となり、最終的には2001年に「ライトエース・ノア」は「ヴォクシー」となり、「タウンエース・ノア」は「ノア」となりました。

初代モデルは2001年に発売されたR60G系型MCプラットフォームに5ナンバー枠に収まるボディ、2リッターNAエンジンの1AZ-FSE型を短いボンネット下のエンジンルームに横置きする形で配置し、4速オートマチックトランスミッション(のちにCVTも用意される)で駆るといった形で作られました。
「ライトエース・ノア」から「ヴォクシー」に変わったことで大きく変わったのはエンジンレイアウトとドライブトレーンのレイアウトです。

ライトエース・ノアでもエンジンをキャビンより前にあるエンジンルームに収める形を取ってきましたが、エンジンは縦置きで、そこからまっすぐ後ろに伸びるプロペラシャフトでリヤタイヤを駆動するFRレイアウトを持つ車でした。
しかし、ヴォクシーになってからはエンジンの位置は変わらないものにエンジンは横置きにされ、駆動輪をフロントタイヤとするFFレイアウトとしたのです。

ちなみにこれに対してトヨタは、「プロペラシャフトが通るセンタートンネルがなくなることでキャビンが広くなる」ということであたかも客側に大きなメリットがあるとしていますが、大きなメリットがあったのは客側ではなくトヨタ側で、他のFFレイアウトの車との共通部品をつくることができることから長期的なコスト削減ができることや部品点数が少ないことから生産コストを下げることができるといったメリットがありました。

この初代モデルは数回の改良を加えながらはじめてのモデルチェンジとなる2007年まで発売されました。
2007年のモデルチェンジで発売されることになったR70系型は、先代モデルと同じプラット―フォームに3ZR系のエンジンとCVTを搭載し、ボディやインテリアのデザインも先代モデルのものを受け継いだ形となったキープコンセプト傾向が強いモデルとなりました。

この頃、実はノア兄弟車にとって非常の過酷な時期でした。
兄弟車のノアと同じようにセレナの圧倒的な人気に押され、2台体制でもセレナの販売台数にやっと並ぶといったような販売台数が低迷していたのです。
そうなった理由は、世の中が「燃費の良い車が良い車」と考えていたからです。

当時、ライバルのセレナには簡易的ながら一応、ハイブリッドシステムと呼べるS-HYBRIDを搭載したハイブリッドモデルがありました。
簡易型ハイブリッドシステムですので、燃費性能の向上率はあまり高くありませんでしたが、大衆ファミリーミニバンを買うような一般的な消費者は、ハイブリッドシステムの構造や燃費性能がどれだけよくなっているかということなどあまり気にせず、「ハイブリッドモデルだから」ということで「ハイブリッド」という言葉に惹かれて車を買うことが多かったのです。

そのため中型ミニバンを買う方のほとんどが日産ディーラーに駆け込み、セレナのS-HYBRIDモデルを買うようになっていたのでした。

これではいけないと思ったトヨタは、2代目モデルのモデルチェンジ時期を大幅の遅らせながら、対策に追われます。
そしてやっと作られたのが、3代目モデルとなるR80系型だったのです。

このモデルも発売当初は、新しいプラットフォーム「新MCプラットフォーム」に先代モデルから引き続き使われることになったごく普通のガソリンエンジンモデルだけだったのですが、発売から約1か月後にハイブリッドモデルを発売しました。

このハイブリッドモデルは、同じ新MCプラットフォームが採用されているハイブリッドカーのZVW30型プリウスのハイブリッドシステムをそっくりそのまま移植して形で作られています。

今回のモデルになってプラットフォームが変更になったのも実はこのハイブリッドモデルを作るためにZVW30型プリウスのハイブリッドシステムを流用するためだったようです。

このハイブリッドモデルの発売によって形勢逆転、更に末弟のエスクァイアの発売もあって、ノア三兄弟車はセレナの販売台数を大きく上回ることになったのでした。

ヴォクシーとノアの違い

ここでは兄弟車となるノアとどこが同じで、どこが違うのかを見ていきたいと思います。

ヴォクシーとノアで同じところ

・プラットフォーム
・シャシー形状
・フレーム形状
・ボディ形状
・フロントフェンダーパネル以外のボディパネル
・エクステリアパーツ
・エンジン
・ハイブリッドシステム
・ハイブリッドモデル用工藤電気モーター
・トランスミッション
・ドライブトレーン
・インパネ
・シート
・快適装備
・インテリアパネル
・インテリアカラー
・パワースペック
・燃費性能
・走行性能
・車両販売価格
・モデル構成
・グレード構成

ヴォクシーとノアで違うところ

・ボンネットフード形状
・フロントフェンダーパネル形状
・フロントバンパー形状
・ヘッドライトアッセンブリー
・リヤコンビネーションランプ
・リアガーニッシュ形状
・ボディカラーバリエーション
・モデル名
・グレード名
のみ

ヴォクシーとノアで違う需要傾向

前項を見てもヴォクシーとノアは後付けできる部品が違いだけの安易な兄弟モデルであることがわかりますが、たったそれだけの違いなのに需要傾向に大きな違いがあることがわかっています。

●ヴォクシー

・比較的若年層(20代から30代ぐらい)家族
・お父さんの意見がとおる家族
・若いころの素行が抜けていないお父さん、お母さんがいる家族
・予想外の出産があった家族
・オラオラ系の運転をする方
・肉体労働系のお父さんがいる家族
など

●ノア

・家族を最優先にするお父さんがいる家族
・現実的な考え方をするお父さんがいる家族
・ホワイトカラー系の仕事につくお父さんがいる家族
・温厚な性格を持つお父さんがいる家族
など

といった感じです。

ほぼ同じ車なのに、どうしてここまで極端に性質の違う需要形態となるのかという理由は、「広告宣伝のイメージ」と「フロント周りデザイン」にあるとされています。

まず広告宣伝について・・・2019年4月現在のヴォクシーとノアのCMはエスクァイアも含めて3台同時の広告宣伝となっていますが、過去のCMや雑誌などの広告を見ると・・・

ノア:仲良しで温かい雰囲気の家族を意識させる内容になっている
ヴォクシー:某有名俳優と小さな男の子で家族の中での「男同士」を強く意識させる内容になっている

といったようなものが使われていました。
これをみた消費者はきっと、ノアはアットホームな家族向き、ヴォクシーは男の荒々しさをもった車というイメージを持つことでしょう。
そしてそのままの感覚で自分の置かれている環境に近いものを選ぶことで需要傾向に違いが出てしまっているようなのです。

次にフロント周りのデザインについてですが・・・

ノア:無難でありながらも嫌味を感じさせないデザインとなっている
ヴォクシー:細目の2段式ヘッドライトやフロントグリルのデザインが攻撃的に見える

とこちらでも広告宣伝で前面に押し出したイメージを更に強く植え付けるかのようなものがそれぞれのモデルに採用されているのです。

特にオラオラ系の運転をしたい方にとって、ヴォクシーのフロントデザインはいい武器になるようで、かなり好まれています。

中身は全く同じなのにこれだけ需要傾向に違いがあるのも面白いですが、たかが大衆ファミリーミニバンのヴォクシーでオラオラ系の運転をすること自体が滑稽です。

トヨタ・ヴォクシーのモデル構成・グレード構成

ヴォクシーには5つのモデルが存在します。

ガソリンエンジンモデル(標準モデル)

2リッターNAエンジンを搭載した標準モデルには2つのグレードが用意されています。
駆動方式はすべてにおいてFFの2WDとスタンバイ式4WDの4WDがあります。

・X グレード(7人乗り・8人乗り)
・V グレード(7人乗り・8人乗り)

最廉価モデルの「X」グレードに対して・・・

・195/65サイズ タイヤ
・15インチ×6Jアルミホイール
・フロントドアガラス:スーパーUVカット・IRカット機能+撥水機能付UVカットグリーンガラス
・スライドドア・リヤクォーターガラス:スーパーUVカット機能付UVカット機能付プライバシーガラス
・インテリジェントクリアランスソナー
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・ハイグレードオプティトロンメーター
・4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
・本革巻き3本スポークステアリングホイール
・ピアノブラック塗装センタークラスターパネル
・本革巻きセレクターノブ
・メッキインサイドドアハンドル
・合成皮革巻ドアトリムオーナメント
・ピアノブラック塗装フロントドアスイッチベース
・エンジンスイッチ+ルームランプ イルミネーテッドエントリーシステム
・ピアノブラック塗装インテリアパネル
・ナノイー機能
・ハイグレード・消臭機能付ファブリックシート
・快適温熱シート
・運転席・助手席シートバックポケット
・スマートエントリーシステム
・スマートロック操作パワースライドドア予約ロック機能
・バックドアイージークローザー
・6スピーカー

といった装備を追加したのが「V」グレードとなります。

ガソリンエンジンモデル(ドレスアップモデル)

ガソリンエンジンモデルの標準モデルに専用のエクステリアパーツをつけたのがこのドレスアップモデルです。
グレードはモノグレードで駆動方式は標準モデルと同様に2WDと4WDから選ぶことができます。

・ZS グレード(7人乗り・8人乗り)

装備的にはガソリンエンジンモデルの「X」グレードのものに加えて・・・

・205/60サイズ タイヤ
・16インチ×6Jアルミホイール
・専用ヘッドライトアッセンブリー
・専用フロントバンパー
・専用フロントフェンダーパネル
・専用リヤバンパー
・専用リヤルーフスポイラー
・専用サイドマッドガード(サイドパネル)
・スモークメッキフロントグリル
・リヤディスクブレーキ
・インテリジェントクリアランスソナー
・LEDフロントフォグランプ風タウンランプ
・ハイグレードオプティトロンメーター
・4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ
・本革巻き3本スポークステアリングホイール
・ピアノブラック塗装センタークラスターパネル
・本革巻きセレクターノブ
・ピアノブラック塗装フロントドアスイッチベース
・エンジンスイッチ+ルームランプ イルミネーテッドエントリーシステム
・ピアノブラック塗装インテリアパネル
・ナノイー機能
・ZS専用消臭機能付ファブリックシート
・快適温熱シート
・スマートエントリーシステム
・スマートロック操作パワースライドドア予約ロック機能
・バックドアイージークローザー

を追加した形で構成されています。

ちなみにトヨタとしては「エアログレード」といった聞こえのいい言葉を使いたいようですが、ボディにつけられているのは空気抵抗を増すだけ、重量を増すだけの見た目重視の「エアロパーツ風エクステリアパーツ」ですので正しくは「エアロ」ではなく、「ドレスアップ」です。

皆さん騙されないようにしましょう。

ハイブリッドモデル(標準モデル)

ハイブリッドモデルの標準モデルにも2グレードが設定されています。
駆動方式はハイブリッドシステムを搭載しているためFFの2WDモデルのみ、そして定員ハイブリッドシステムによって7人乗りのみとされています。

・HYBRID X グレード(7人乗り)
・HYBRID V グレード(7人乗り)

各グレードの装備に関してもガソリンエンジンモデルの標準モデルのものとほぼ同じです。
ただ、パワーユニットの違いからハイブリッドモデルならでは下記の装備が追加で設定されています。

・エンジンフードサイレンサー
・ECB
・EVドライブモード+パワーモード付モードスイッチ
・UVカット・IRカット機能付高遮音性ウインドシールドガラス
・車両接近通報装置
・ハイブリッド専用オプティトロンメーター
・ハイブリッドシステムインジケーター
・エレクトロシフトマチック
・パワースイッチ+ルームランプ イルミネーテッドエントリーシステム
・センターコンソールボックス充電用USB端子
・S-FLOW+湿度センサー付オートエアコン
・センターコンソールボックス
・6:4分割式デッキボード

ハイブリッドモデル(ドレスアップモデル)

ガソリンエンジンモデルのドレスアップモデルとなる「ZS」グレードとほぼ同様のモデルです。
グレード構成はモノグレードで、駆動方式も2WDのみ、定員も7人乗りのみとなります。

・HYBRID ZS グレード(7人乗り)

装備においてもガソリンエンジンモデルの「ZS」グレードとほぼ同じものが採用されています。
唯一の違いとなるのは・・・

・16インチ×6J BBS製鍛造アルミホイール

が採用されていることです。

スポーティードレスアップモデル

大衆ファミリーミニバンのヴォクシーに全く持って不釣り合いで、正反対の性質を持つスポーティーさを持たせたモデルがスポーティードレスアップモデルの「GRスポーツ」です。

特別なパーツがいろいろと付けられていますが、この「GRスポーツ」を買ったとしても速く走ることはできませんし、コーナーリングスピードが上がるわけでもありません。

そもそもこのモデルは、トヨタにまともなスポーツモデルがないことに対する「目眩ましモデル」で販売戦略的に無理矢理作ったモデルで、スポーティーといっても具体的に動力性能が向上しているわけでもありませんし、走行性能が向上しているわけでもないただの「ハリボテのドレスアップモデル」、青森ねぶた祭の「ねぶた」のような車です。
勘違いしないように、恥ずかしい思いをしないようにしましょう。

このモデルはモノグレードで、ガソリンエンジンモデルの「ZS」グレード、7人乗り、FFモデルをベースにして作られています。

・ZS GRスポーツ グレード

装備面も基本的には「ZS」グレードに準ずるものとなりますが、「GRスポーツ」モデルならでは装備が追加、交換されています。

・専用フロントグリル
・専用フロントバンパー
・専用リヤバンパー
・専用LEDヘッドランプアッセンブリー
・専用LEDデイランプ
・バックドアガーニッシュ
・215/45サイズ タイヤ(POTENZA RE050A)
・18インチ×7J 専用 エンケイ製アルミホイール
・専用本革巻き3本スポークステアリングホイール
・専用フロントシート
・専用オプティトロンメーター
・本革巻きセレクターノブ
・専用スタートスイッチ
・専用ドアトリムオーナメント
・アルミペダル
・ピアノブラック塗装インテリアパネル
・ボディ剛性補強パーツ
・ホワイト塗装ブレーキキャリパー
・専用ブレーキパッド
・専用ローダウンサスペンション
・専用音質変更仕様マフラー
・専用電動パワーステアリング制御プログラム

ボディ剛性補強パーツは、スポーツ走行をするためにがっちりとボディを固めるためのボディ剛性アップパーツではなく、軽自動車並みのボディ剛性しか持っていないことに対する「補強」として施されているものです
要するに価格の安い標準モデルではしっかりとしたボディ剛性を保つことすらできないが、多少価格をふっかけたこのモデルではボディ剛性に対して多少お金がかけられるということです。

販売戦略って本当に恐ろしいものです。
ひとつ間違えば「詐欺」ですから・・・。

トヨタ・ヴォクシーの動力性能

2リッターガソリンエンジン

・エンジン型式:3ZR-FAE型
・エンジン排気量:約2リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ

スペックは・・・

・最大出力:152ps/6100rpm
・最大トルク:19.7kgf・m/3800rpm

※リッターあたり:約76ps
※パワーウェイトレシオ:約10.8kg/ps

ガソリンエンジンモデルに採用されている特にこれといったことがない実用型エンジンです。

パワー的にも中型ミニバンのエンジンとして、2リッターNAエンジンとしてのセオリーどおりの150ps前後におさまっていてこちらも無難なものとなっています。

1.8リッターハイブリッドシステム

●エンジン
・エンジン型式:2ZR-FXE型
・エンジン排気量:約1.8リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・ミラーサイクル

●電気モーター
・形式:5JM型

スペックは・・・

●エンジン
・最大出力:99ps/5200rpm
・最大トルク:14.5kgf・m/4000rpm

●電気モーター
・最大出力:82ps
・最大トルク:21.1kgf・m

※システムパワー:136ps
※リッターあたり:約75.5ps
※パワーウェイトレシオ:約11.9kg/ps

このパワーユニットは、ZVW30型3代目プリウスに採用されていたエンジン、ハイブリッドシステムをそっくりそのまま流用したものです。

駆動用電気モーターだけは、ノア三兄弟車用として、3JM型から5JM型電気モーターに付け替えられていますが、消費電力の効率がよくなっただけでスペック的には全く同じことから、動力性能にも燃費性能にもいい影響は出ていません。

ただ、フル定員で乗って簡単に2トンを超える重量になるヴォクシーにおいて、たった136psはさすがに苦しい走りを強いられることになるでしょう。

トヨタ・ヴォクシーの走行性能

大衆ファミリーミニバンですので、安全に家族を目的地にまで運ぶだけの能力があればいいわけで、優れた走行性能など必要ありませんが、一応大衆ファミリーミニバンも自動車ですので、自動車としての走る機能にどれだけの性能があるのかを見ることはとりあえず必要かと思います。

ただ、高望みはいけません、何といっても大衆ファミリーミニバンなのですから・・・。

トランスミッション

パワーユニットにあわせて2つのトランスミッションが設定されています。

●CVT
これはガソリンエンジンモデル、スポーティードレスアップモデルのみに採用されているトランスミッションです。
トヨタ名「Super CVT-i」とよばれている電子制御式のCVです。
・・・といっても、なんてことはなくごく普通の電子制御、油圧作動式のトルクコンバーター付き金属ベルト無段変速機です。

何を思ったのか、無段変速によって低燃費を実現することが最大のメリットであるCVTに、こともあろうかそのメリットを無視するかのような疑似有段変速制御の7速スポーツシーケンシャルシフトマチックが付けられているのには呆れました。
これもまたトヨタの恐ろしい販売戦略のひとつ、「スポーツ」とか「スポーティー」という言葉に飢えたお父さんドライバーの心を鷲掴みにしようとしています。

ちなみのトヨタが「スポーティーなヴォクシーですよ!」といっているスポーティードレスアップモデルの「ZS GRスポーツ」グレードにもこのCVTが採用されていることになっていますが、「スポーティー」に対してCVTとはおかしな話です。

●ギヤ式無段変速機
これはハイブリッドモデルに採用されているもので、THS-IIが採用されているモデルすべてに使われているトランスミッションです。
遊星ギヤと電気モーターの抵抗を使ったギヤ式無段変速機です。

ボディ剛性・強度

鋼材の質を落とす、鋼板の厚みを薄くするといったコスト削減を最優先に考えて作られた車がボディ剛性が高いわけがありません。
更にスライドドア、リヤハッチといった広い開口面積をもつ全高の高いボディを持つモデルではなおさらです。ているのですからもっとひどいことなっています。
補強が施された「ZS GRスポーツ」グレードでやっと中型ミニバンの標準レベルに達したといった程度でしょう。

サスペンション構造

サスペンション構造もコスト削減用のものが使われています。
フロントのマクファーソンストラットはいいですが、リヤには軽自動車やコンパクトカーといった低価格モデルでも使われているトーションビームが採用されてしまいました。

トーションビームは、サスペンション構造自体の高さが低く、ヴォクシーのような広くてフラットなキャビンを求める車や構造が簡単で部品点数が少ないことからコストをかけられない車、コストをケチりたい車にはもってこいのサスペンション構造なのですが、剛性感を確保することができず絶えずフラフラするようになったり、低いフロア下収められることが多いので、サスペンションストロークが短くなるというデメリットを持ちます。

乗り心地に関してもバタつく傾向がありますし、コーナーリングも踏ん張ってくれないので走行性能面に対してもメリットはありません。
なのにどうしてのヴォクシーに採用されているのかといったら、やっぱりお金がかからないからでしょう。

ちなみに「ZS GRスポーツ」グレードにローダウン目的のスプリングレートの硬いコイルスプリングや減衰力の高いショックアブソーバーが付けられていますがこれで走行性能がよくなると思ったら大間違いです。
むしろボディ剛性とのバランスから見ると標準のスプリングとショックアブソーバーの方が安心して運転することができます。

トヨタ・ヴォクシーの燃費性能

●ガソリンエンジンモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大16.0km/L
・実燃費:約11km/L

●ハイブリッドモデル

・カタログ燃費(JC08モード):最大23.8km/L
・実燃費:約16km/L

燃費性能を向上させるための低燃費装備として下記のようなものが採用されています。

●ガソリンエンジンモデル

・アイドリングストップ機構
・CVT
・オルタネーター制御
・可変バルブタイミング
・バルブマチック
・電動パワーステアリング

●ハイブリッドモデルには

・ハイブリッドシステム
・ミラーサイクル
・アイドリングストップ機構
・CVT
・可変バルブタイミング
・電動パワーステアリング

これだけいろいろな対策が取られているのにどうして燃費性能(実燃費)が良くないのかというと、それはまず重量が重たいこと、車両重量こそ1.6トン程度ですがこの車に人が乗って荷物を載せてとなると軽く2トンを超えることになります。
それから全高が高く全面投影面積が広いことから空気抵抗が大きいこともかなり悪い影響を与えます。
この重たいボディ、空気抵抗の強いボディを持つ車体を150ps前後(ハイブリッドモデルは136ps)で快適に走らせるとなるとそれなりにエンジン回転数も高めなければならない、電気モーターの電力消費量も増えるといった形でどうしても燃料消費量が増えてしまうのです。

まとめ

ノアと中身が全く同じ兄弟車なのにノアには全くないどちらかというと「負」のイメージを持った需要を得ることができたのは、トヨタが取った販売戦略とフロントデザインが醸し出す攻撃的な雰囲気であることがおわかりいただけたかと思います。
ただ、この車はあくまでも大衆ファミリーミニバン、攻撃的なイメージは必要ないと思うのは私だけでしょうか。

ノアに対してヴォクシー、アルファードに対してヴェルファイア、ポルテに対してスペイドといったように、どうやらトヨタは普通のモデルに対してちょっと癖のある需要を持つ兄弟車を作るのが好きなようです。

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