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商用バンの日産・NV200バネット、ワゴンとしても使える!

ミニバンが登場してからというもの急に廃れ気味となってしまったワンボックスカーですが、逆にそれによって「ワンボックスカー=商用車」という概念が強くなったことで、自動車メーカーも思い切った車作りができるようになったのか、商用車としての機能性が高まったいい商用車が売られるようになったような気がします。
そういうワンボックスカーの系統を受け継いだモデルが日産・NV200バネット、このモデルも商用車としてだけでなくワゴンモデルとしても人気が高まってきているようです。

日産・NV200バネットってこんな車

日産・NV200バネットは日産が生産・販売する中型商用モデルです。
ボディ形状とエンジンが置かれる位置からして、キャブオーバー型ワンボックスカーではなく、ミニバンなどと同じように短いボンネットがありその下にエンジンを収める1.5ボックスモデルと言える車です。

冒頭でも言いました通り、このモデルは旧日産時代に発売開始されたワンボックスカーを祖先に持ちます。
それは1978年に発売された「サニー・バネット」「チェリー・バネット」という販売チャネル違いの兄弟車を持つ小型商用モデルで、ワンボックスバンの他に平ボディ付きのトラックやワンボックスワゴンのコーチがありました。
初代モデルC120型は1978年から販売が開始され、その後1985年に行われたモデルチェンジによってC22型へと進化しました。
そのモデルは1994年まで販売されましたが、C22型の時代にワゴンモデルのコーチが「バネット・セレナ」(のちのセレナ)として独立した形となり、1991年からはバネットは商用バン、商用トラックだけのモデルとなってしまいました。

その後はモデルチェンジされることなくC22型は生産終了、それ以降はマツダのボンゴのOEM供給を受け、それをバネットとして売るという形を取ったのです。
ボンゴのOEMモデルとしてのバネットは、ボンゴのモデルチェンジにあわせた形で1度だけモデルチェンジを受け、OEM供給契約が終了する2017年まで販売が続けられました。

実はこのボンゴのOEMモデルを販売している時に日産は並行して新たな中型商用モデルを開発していました。
そのモデルがこのNV200バネットでした。

NV200バネットは2009年に発売され、それまでの自社生産型バネットとは全く違うFFレイアウトを持つ1.5ボックスボディを持つ商用モデルとしてデビューさせたのです。

このモデルが2019年現在での現行モデルで、バネットシリーズとしては5代目モデル、日産製バネットしては3代目、NV200バネットとしては初代モデルとなります。

日産・NV200バネットのモデル構成・グレード構成

このモデルも商用モデルらしく複雑なモデル構成・グレード構成を持つ形で販売されています。

バンモデル

バンモデルには5グレードが設定されています。

・DX(2人乗り)グレード
・DX(5人乗り)グレード
・VX(5人乗り)グレード
・GX(5人乗り)グレード
・プレミアムGX(5人乗り)グレード

DX」系グレードを最廉価グレードとして、それに・・・

・カラードバンパー
・フルホイールカバー
・荷室天井トリム
・前席パワーウインドウ

を追加したのが「VX」グレードで、更に・・・・

・電動リモコンドアミラー
・インサイドフロントドアハンドルフィニッシャー(シルバー色)
・フロントシート 上下調整式ヘッドレスト
・フロントシート ローバックシート
・ラゲッジフロアカーペット
・ラゲッジサイドボックス(左側のみ)

を追加したのが「GX」グレード、そして更に・・・

・フロントバンパー組込みハロゲンフォグランプ
・UVカット断熱プライバシーガラス(スライドドア、リヤサイド、バックドア)
・スライドサイドウインドウ(両側、フラッシュタイプ)
・インテリジェントキー
・プレミアムGXグレード専用カラードフロントバンパー
・プレミアムGXグレード専用フロントグリル
・プレミアムGXグレード専用フードトップモール
・プレミアムGXグレード専用エンブレム

を追加したのが「プレミアムGX」グレードとなります。

駆動方式は基本がFFの2WDとなりますが、「VX」グレード、「プレミアムGX」グレード以外のグレードにはスタンバイ4WDも用意されています。
4WDモデルにはグレード問わず、以下の装備が専用装備として追加されます。

・電動リモコンドアミラー
・荷室天井トリム
・175/80サイズ タイヤ
・タイヤ応急修理キット
・前席パワーウインドウ

ルートバン

・DX(2人乗り)グレード

ルートバンは、荷室エリアのウィンドウを窓埋めしたモデルで、バンモデルの「DX」(2人乗り)グレードをベースにして作られていて、装備に関してもバンモデルの「DX」(2人乗り)グレード相当のものが採用されています。

駆動方式に関してもバンモデルの「DX」(2人乗り)グレードと同じですのでFFとスタンバイ4WDが用意されています。

ワゴンモデル

NV200バネットになって久しぶりの復活となったワゴンモデルですが、ワゴンモデルには4つのグレードが用意されています。

・16X-2Rグレード
・プレミアムGX-2Rグレード
・16X-3Rグレード
・プレミアムGX-3Rグレード

16X-2R」グレードと「16X-3R」グレード、「プレミアムGX-2R」グレードと「プレミアムGX-3R」グレードは、シートの数・定員違いのモデルであって、「2R」と付くのが2列シートの5人乗りモデル、「3R」と付くのが3列シートの7人乗りモデルとなります。

装備に関してもシートの数の違いによる部分以外はほぼ同じといっていいでしょう。

16X-○R」系グレードを基準としてそれに・・・

・UVカット断熱プライバシーガラス(スライドドア、リヤサイド、バックドア)
・スライドサイドウインドウ(両側、フラッシュタイプ)
・インテリジェントキー
・プレミアムGXグレード専用本革巻3本スポークステアリングホイール
・プレミアムGXグレード専用カラードフロントバンパー
・プレミアムGXグレード専用フロントグリル
・プレミアムGXグレード専用フードトップモール
・プレミアムGXグレード専用エンブレム

を追加したのが「プレミアムGX-○R」系グレードとなります。

日産・NV200バネットの動力性能

このモデルにはバンモデル・ルートバンモデル・ワゴンモデル問わず全てにおいて同じエンジンが採用されています。

・エンジン型式:HR16DE型
・エンジン排気量:約1.6リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ

スペックは・・・

・最大出力:109ps/6000rpm
・最大トルク:15.5kgf・m/4400rpm

※リッターあたり約68ps

となります。

このエンジンはもともと実用型エンジンとして開発され、パワーよりも燃費性能や生産コストを重視して作られたものです。
なので、これくらいのパワースペックにしかならないのも当然といえるのですがが、車両重量最大1.38トン、総重量約2トンとなるこのモデルにおいて、109psというのはかなり厳しいといえるでしょう。
それでもこのモデルを商用バンとして仕事用の車としてみるのであればまだ我慢できますが、快適性を求めるワゴンモデルとして、またミニバンとして考えるとパワー不足をより強く感じます。

ノートのNISMOモデルにもこのエンジンが搭載されていて、そのモデルでは140psを発生させていますので、ぜひともこのNV200バネットにもそれと同じエンジンを搭載してもらいたいものです。

日産・NV200バネットの走行性能

そもそも商用モデル、商用モデルベースのワゴンモデルですからお世辞にも走行性能が優れているとは言えません。
このあと、細かく挙げていく各装備や構造を見ればきっとわかるはずです。

トランスミッション

これくらいのクラスの車となると通常は燃費性能を向上させるためにCVTを搭載することが多いのですが、このモデルは商用モデルですので、実用性と耐久性を兼ね備えた信頼性の高いトランスミッション、2種類が用意されています。

●マニュアルトランスミッション

商用車となればマニュアルトランスミッションを用意しないわけにはいかないでしょう。
特にこのモデルのようにパワーがなく、トルクが細いエンジンを搭載しているモデルではより一層、マニュアルトランスミッションが欲しくなります。

変速段数は5段変速となりますが、少々ギヤ比が高めで荷物満載状態ではエンジン回転数を高めにしないと思ったような加速ができないようです。
それもそのはず、同じエンジンながら140psものパワーを発揮するノートのNISMO Sモデルと全く同じトランスミッション、全く同じ構造、全く同じギヤ比となっているのですから、ギヤ比が高いと感じてもおかしくありません。

まあ、マニュアルトランスミッションなのでそうなったらシフトダウンすればいいわけですから問題ないといってしまえばそれまでですが・・・。

この5速マニュアルトランスミッションはバンのFFモデルのみに設定されています。

●オートマチックトランスミッション

トランスミッションにも負担がかかりやすい商用モデル、さすがにCVTでは耐久性に問題があるということで、AT免許で運転できる仕様のモデル用として通常のトルクコンバーター式オートマチックトランスミッションが採用されます。

フルレンジ電子制御4速オートマチックの「E-ATx」と呼ばれているものですが、変速段数が4速というのがちょっと気になるところです。

実用的な車ですので仕方がないのかもしれません。

ボディ剛性・強度

商用車は、どの自動車メーカーのものでもどのモデルでも比較的ボディ剛性や強度を高めたものを使用することが多いものです。
なぜなら通常の自家用車よりも長い間乗ることが多いですし、距離も相当伸びます、それにそこそこ重たい荷物、そこそこたくさんの荷物を積んで走ることにもなりますので、そういった車に1年でボディがねじれてしまうどこかの軽自動車のようなボディやフレームでは耐えきれないのです。

このNV200バネットも例外ではなく、Bプラットフォームという小型FF大衆車向けシャシーを使って作られた車ですが、フレームやボディがしっかり補強されかなり丈夫な骨格を持つ車に仕上がっています。
同クラスのミニバンとかトールワゴンなど比べても圧倒的な頑丈さを持っているといっていいでしょう。

サスペンション構造

NV200バネットには駆動方式にあわせて2種類のサスペンション構造の組み合わせがあります。

まずFFモデルですが、こちらは商用バンでは定番となっているフロントにマクファーソンストラット、リヤにリーフリジットの組み合わせです。
ワゴンモデルはFFモデルだけの設定となっていることからおのずとこの組み合わせが使われることになりますが、バンモデルのようにリヤサスペンションに大きな荷重がかかることがないので、リーフスプリングも弱め、ショックアブソーバーの減衰力も低めのものに付け替えられています。

次に4WDモデルですが、フロントサスペンションはFFモデルのものと同じマクファーソンストラットですが、リヤサスペンションはリヤタイヤも駆動輪となり、ドライブシャフトやデファレンシャルギヤなどが装着されるという構造的な理由から贅沢にもマルチリンクが採用されています・・・ということは4WDモデルは四輪独立懸架になるということです。

ただ、マルチリンクといっても日産の高級モデルに採用されているものとは違うもので、走行性能を向上させようということよりも荷物をたくさん積んで重たくなった車体を支えることに重点を置いて設計されたものとなっています。

4WDシステム

バンモデルに用意されている4WDモデルには、「オートトルクコントロール4WDシステム」と呼ばれる4WDシステムが採用されています。
・・・といって特別なものではなく、いわゆる生活四駆などといわれるスタンバイ4WDシステムです。

メインの駆動輪となる前輪が空転した時だけにリヤタイヤにもトラクションを分配するといったもので、技術的には軽自動車や一般的な大衆車に採用されているものとなに1つ違いはありません。

ただ、構造的にちょっと違うところがあり、このシステムではリヤタイヤへトラクションを伝えるためのビスカスカップリングがトランスミッション直後のトランスファーあたりにつけられるのではなく、リヤデファレンシャルギヤのデフケースに内蔵する形でリヤデフの直前につけられているのです。

ビスカスカップリングの位置がちょっと違いだけでこれによって何かメリットがあるというわけではありません。
むしろFF状態になっている時でも後輪駆動用のプロペラシャフトが回っている形となるため、そのフリクションロスによって若干ですが燃費性能に影響が出てしまうぐらいです。

日産・NV200バネットの燃費性能

NV200バネットは商用モデルですので、贅沢なハイブリッドシステムなどといった低燃費装備はつけられていません。
なので、劇的に燃費性能がいい車ということにはならないのですが、それでもコストが許される範囲での低燃費装備、可変バルブタイミング機構電動パワーステアリングといったものをつけて燃費性能の向上を目指しています。

・カタログ燃費:最大14.0km/L
・実燃費:約12km/L

商用車の場合、積んでいる荷物の重さによって燃費性能が大きく変わるものですが、平均して12km/L程度走ることができるというのはなかなかのものです。

日産・NV200バネットのライバルは?

NV200バネットは1.6リッターエンジンを搭載した1.5ボックス商用バンです。
その条件でライバルモデルを探すとバネット時代からずっとライバルとされてきたトヨタのタウンエース・ライトエース兄弟車が該当するでしょう。

タウンエース・ライトエース兄弟車も昔は小型ワンボックスカーとして作られ、バンモデルやワゴンモデル、派生車種としてトラックなど持つモデルでしたが、衝突安全ボディを取り入れたことで1.5ボックスとなり、更にワゴンモデル(のちのノア三兄弟モデル)の独立で、商用モデルだけとなった車です。

現在はトヨタの子会社であるダイハツが東南アジア向けに作っているグランマックスと呼ばれる商用車のOEM供給を受けての販売となっており、モデルとしても商用モデルだけという形になっています。

タウンエース・ライトエース兄弟車にはワゴンモデルがありませんので、ここではバンモデル同士で比較してみます。

エンジンスペック比較

●NV200バネット(HR16DE型)

1.6リッター直列4気筒DOHC NAエンジン
・最大出力:109ps/6000rpm
・最大トルク:15.5kgf・m/4400rpm

●タウンエース・ライトエース兄弟車(ダイハツ製3SZ-VE型)

1.5リッター直列4気筒DOHC NAエンジン
・最大出力:97ps/6000rpm
・最大トルク:13.7kgf・m/4400rpm

エンジン排気量100ccほど違いますので、パワーやトルクの差はその排気量の違いによるものだと思われます。
どちらもかなり非力です。

燃費比較

●NV200バネット(「VX」グレード):最大14.0km/L
●タウンエース・ライトエース兄弟車(「GX」グレード):最大12.8km/L

タウンエース・ライトエース兄弟車の方がエンジン排気量も小さい、エンジンパワーも低い、付けられている低燃費装備の内容もほぼ同じなのに、どういうわけかNV200バネットの方が燃費性能が優れていることになっています。
こうなってしまう理由は、たぶんタウンエース・ライトエース兄弟車はダイハツの車で、エンジンもダイハツ製だからだと思います。

販売価格帯比較

●NV200バネット(バンモデルのみ):約174万円~約245万円
●タウンエース・ライトエース兄弟車:約158万円~約210万円

全体的にNV200バネットの方が高めです。
まあ、これも「日産オリジナルモデル」と「ダイハツのOEM供給車」といった違いが出ているのでしょう。

NV200バネットには日産純正の車中泊仕様車がある

定年退職でリタイアした中・高齢者を中心に昨今、人気となっているのがキャンピングカーです。
キャンピングカーを使ってそれまでできなかった旅行をゆったりと楽しんでいる方も多いのではないかと思いますが、キャンピングカーほど大げさでなくても、車の中で手足を伸ばして車中泊できるような車が欲しいという方も少なくないのではないでしょうか。

そういった方向けにということではないのでしょうが、日産からこのNV200バネットをベースにした車中泊仕様車が発売されました。
その名も「マルチベッドワゴン」です。

このモデルは、ワゴンモデルとして販売されている「16X-2R」グレードをベースとして、リヤラゲッジスペース(荷室)に可倒式ベッドを備え、その可倒式ベッドとリヤシートのシートバックの裏側を利用して広大でフラットなベッドスペースを作ることができるようにしたものです。
ベッドスペースの広さも172cm×127cmもあり、余裕で大人二人が寝ることができます。

キャンピングカーのように社外に発注したものではなく、日産が直接手掛けた車であるため面倒な法的手続きなども必要ありません。

価格は約234万円、ベースモデルの「16X-2R」グレードが約194万円であることを考えたら、マルチベッドワゴン仕様にするのに約40万円ほどかかっていることがわかります。
これを高いとみるか、安いとみるか。

まとめ

中型商用バンとしてはまずまずの作りを持つNV200バネット、ボディ剛性もいいですし積載能力も高い、使い勝手も商用モデルとしては申し分ないものを持ちます。

欲を言えばもう少しパワーのあるエンジンを搭載してもらいたかったですが・・・。

一方、ワゴンとして、ミニバンとしてはどうかという点ですが、意外と内装もしっかりしていますし、快適装備もまずまずで、豪華装備や優れた走行性能を求めないのであれば合格ではないでしょうか。
むしろ中型ミニバン並みのキャビン寸法を持つところなど、それこそキャンピングカーや車中泊仕様車のベースモデルとして最適ではないかと思います。

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