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国産FRスポーツの雄、日産・フェアレディZ、その魅力に迫る!

エコブームが巻き起こり、車の良し悪しを燃費性能だけで見るようになってからどんどん消えていったスポーツモデル、それまで自動車メーカー1社につき、様々なエンジン排気量をもつスポーツモデルが数車種発売されていたものですが、現在では本当に数えるほどとなりました。
その中で唯一昭和の時代、1969年からずっと販売が続けられているスポーツモデルがこの日産フェアレディZです。

長い歴史を持つフェアレディZの魅力を見ていきましょう。

日産・フェアレディZってこんな車

日産のフェアレディZは、遡ること1960年に発売されたダットサン・フェアレデー1200をはじまりとします。

当時、日産からオープンモデルとしてダットサン・スポーツ1000というモデルが発売されていました。

このモデルの派生モデルとして作られたのがライトウェイトオープンスポーツモデルのダットサン・フェアレデー1200で、その後に行われた初めてのモデルチェンジでフェアレディ1500というモデルになりました。
これが日産・フェアレディのスタートで、その後すぐにエンジン排気量アップ版のフェアレディ1600フェアレディ2000というモデルも作られていったのです。

ライトウェイトオープンモデルといっても当時の技術ですからたいしたことはありませんでしたが、それでも2リッターエンジンにソレックスのツインキャブを備え、グロス145psを発生させるパワーユニットを搭載したこのモデルは注目を集めました。

フェアレディシリーズは1970年まで生産が続けられましたが、実用性が求められるようになっていったことからオープンモデルではなく、クローズドボディを持つモデルを作ることになったのです。

それが1969年に発売された初代フェアレディZS30型です。

量産型国産スポーツモデルで初めて発売されたモノコックフレームに2リッターから2.6リッターという排気量のバリエーションを持つ直列6気筒のL型エンジンを搭載し、サスペンションはリーフリジットが当たり前の時代に前後ともマクファーソンストラットといった四輪独立懸架がされたこのモデルは、日本国内のみならず北米エリアでも大注目を受け、かなりの大ヒットモデルとなりました。

このS30型が持つ「ロングノーズ・ショートデッキ」というボディデザインはその後スポーツモデルのデザインと基礎とされました。

1978年に初めてのモデルチェンジを受けることになり、S130型へと進化しましたが、厳しい排ガス規制が施行されたことでS30型の時代に築いたスポーツモデルとしての性能と技術を持ちこすことができず、平凡なGTカーとなってしまい一気に人気を落とすことになったのです。

GTカーとしての時代は1983年のモデルチェンジで生まれたZ31型にも引き継がれることとなり、フェアレディZの闇の時代を作ることになっていったのです。

しかし、ちょうどZ31型フェアレディZがモデルチェンジサイクルにかかろうとした時でした。
その頃から急激に景気が良くなり始め、のちに「バブル景気」などといわれることになる好景気となったことから排ガス規制をクリアするための技術が進み、そしてその技術をした高額車両がバンバン売れ始めるようになったのです。

そこで日産はそれまで混とんとしていたフェアレディZに多額の資金をつぎ込み、S30時代のような純粋なスポーツモデルを作ることにしたのです。
そして生まれたのがZ32型です。

1989年に生まれたZ32型にはZ31型に搭載されていた3リッターV型6気筒エンジンのVG30型をさらに改良した3リッターV型6気筒DOHCツインターボエンジンのVG30DETTが発売され、当時の自主規制値である280psというパワーを持つハイパワーFRスポーツモデルとして作られていました。
このモデルは同社のスポーツモデル、BNR32型スカイラインGT-Rと共に大ヒットし、一時期あった「ハイパワースポーツブーム」の立役者ともなったのでした。

しかし、得てしてそういった良い環境は長くは続かないものです。
「バルブの崩壊」による景気の低迷でモデルチェンジすることもままならず、更には日産自体が経営危機状態となってしまったため、Z32型はある意味で放置されてしまう形となってしまい、結果的には2000年まで販売が続けられることになったのです。

その後は日産がルノー傘下に入ったことで経営面は何とかなりましたが、フェアレディZの次期モデルの話は頓挫し新たなモデルが発売されたのは約2年の空白期間を経た2002年でした。
このモデルがZ33型でルノー日産になってから初めて発売されたモデルとなり、その後2008年にZ34型が発売され、そのモデルが2019年現在の現行モデルとなります。

(Z34型:photo by OiMax

日産・フェアレディZのモデル構成・グレード構成

Z34型2019年現在のモデル構成、グレード構成は2モデル、5グレードとなっています。

標準モデル

標準モデルには4つのグレードが設定されているのですが、それにトランスミッションの選択肢が加わります。

・ベースグレード(6速MT・7速AT)
・Version Sグレード(6速MTのみ)
・Version Tグレード(7速ATのみ)
・Version STグレード(6速MT・7速AT)

各グレードの間の違いは装備とトランスミッションの仕様だけで、それ以外の部分は全グレードで共通となります。
ベースグレードを基本としてそれに・・・

・バックビューモニター
・ステアリングスイッチ
・NissanConnectカーウイングス ナビゲーションシステム
・ETCユニット
・フロント:245/40サイズ、リヤ:275/35サイズタイヤ
・レイズ製アルミ鍛造ホイール(フロント:19インチ×9J リヤ:19インチ×10J)
・アルミブレーキキャリパー(フロント:4ポッド対向ピストン リヤ:2ポッド対向ピストン)
※トランスミッション:6速マニュアルトランスミッションのみ

といった装備を追加、交換したものが「Version S」グレード、その「Version S」グレードに更に・・・

・ヒーター付き本革・スエード調ファブリック コンビシート
・運転席・助手席パワーシート
・運転席ランバーサポート
・BOSEサウンドシステム(8スピーカー)
・アクティブ・サウンド・コントロール、アクティブ・ノイズ・コントロール
・フロント:225/50サイズ、リヤ:245/45サイズタイヤ
・アルミホイール(フロント:18×8J リヤ:18×9J)
・ブレーキキャリパー(フロント:2ポッドフローティング リヤ:1ポッドフローティング)
※トランスミッション:7速オートマチックトランスミッションのみ

といった装備を追加、交換(一部グレードダウンした装備あり)したものが「Version T」グレード、そして「Version T」グレードに更に・・・

・フロント:245/40サイズ、リヤ:275/35サイズタイヤ
・レイズ製アルミ鍛造ホイール(フロント:19インチ×9J リヤ:19インチ×10J)
・アルミブレーキキャリパー(フロント:4ポッド対向ピストン リヤ:2ポッド対向ピストン)
※トランスミッション:6速マニュアルトランスミッション・7速オートマチックトランスミッション

を追加したものが「Version ST」グレードとなります。

ちょっとわかりにくいですが簡単にいえば・・・

・Version Sグレード:走行性能をグレードアップさせたもの
・Version Tグレード:快適性をグレードアップさせたもの
・Version STグレード:Version SグレードとVersion Tグレードをあわせた最上級グレード

と思えばいいでしょう。

NISMOモデル

NISMOモデルはモノグレードとなります。

・NISMO ベースグレード(6速MT・7速AT)

このモデルは、NISMO専用パーツを用いてフェアレディZの動力性能、走行性能を向上させたもので、標準モデルの「Version ST」グレードをベースとしています。

標準モデル違いは装備面だけでなく、エンジンのパワーアップや走行性能の向上、ボディ剛性の向上などが図られていますので、同じフェアレディZでも標準モデルよりかなり優れた走りをすることができるようになっています。

日産・フェアレディZの動力性能

フェアレディZに用意されているエンジンは1種類ですが、NISMOモデル用として違うスペックのものが用意されているため、スペック的には2種類のものが存在する形となります。

●エンジンの基本構造
・エンジン型式:VQ37VHR
・エンジン排気量:約3.7リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:6気筒
・バルブ構造:DOHC24バルブ

ちなみにVQ37VHRのVHRの意味は・・・

・V:VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)をしているという意味
・HR:High Response High Revolution、つまりレスポンスの良い高回転型エンジンであるという意味

です。

●標準モデルのスペック
・最大出力:336ps/7000rpm
・最大トルク:37.2kgf・m/5200rpm
・リッターあたり約90.8ps

●NISMOモデルのスペック
・最大出力:355ps/7400rpm
・最大トルク:38.1kgf・m/5200rpm
・リッターあたり約95.9ps

大排気量エンジンを搭載する割にはNAエンジンということでこのパワーが精一杯のようです。
どちらのスペックもリッターあたり100psに達していないのが非常に残念でなりません。

NISMOモデル用のエンジンには、等長フルデュアルエキゾーストシステムとチューニングECUが装着されていることからパワーにして19ps、トルクにして0.9kgf・mのパワーアップとなりましたがはっきり言ってたいしたことではありません。
しかし、NAエンジンのパワーアップは過給器付きエンジンよりもお金も手間もかかるもので、そんな中で派手に手を加えない形でこれだけのパワーアップができているのはさすがメーカーチューンといえます。

日産・フェアレディZの走行性能

フェアレディZは一時、グランツーリスモ的な車作りがされた時代がありましたが、Z32型以降スポーツモデルとして作られるようになり、現在のルノー日産になってからもNAエンジンという面白みのないパワーユニットを搭載していながらも随所にスポーツモデルらしい、走りを強く意識した作りを見ることができます。

トランスミッション

フェアレディZでは、最近の登録車としては珍しいトランスミッションに選択肢を設けています。
1つはマニュアルトランスミッション、そしてもう1つはオートマチックトランスミッション

●マニュアルトランスミッション
フェアレディZのマニュアルトランスミッションは、日産グループに属する愛知機械工業製のFS6R31型が搭載されています。
段数は6速でシフトストロークが非常に短いのが特徴です。
クラッチは、なんとライバルであるトヨタグループの子会社であるアイシン精機が主要株主となっているエクセディ製のものが発売されています。
性能的には全く問題ないのでいいのですが、日産を代表するような車にトヨタの息がかかった部品が使われているのにはちょっとびっくりです。

それからすべてのマニュアルトランスミッションにシンクロレブコントロールという機能が発売されています。
これはスポーツ走行などをする時に必須となるテクニック、「ヒール&トゥー(シフトダウンをする際につま先でブレーキペダルを踏みながら、かかとでアクセルペダルをあおることでエンジン回転数をあわせる動作)」を自動的に行ってくれる機能で、これによってシフトダウン時にギクシャクすることがなくなります。

昔はテクニックのある人間だけしかできないことでコーナーの入り口などでエンジン音を聞くだけでその車に乗っているドライバーのテクニックを知ることができたものですが、それを機械が自動的に行ってしまってはそういう判断ができなくなってしまいました。
テクニックの無い人間にはありがたい機能です。

●オートマチックトランスミッション
オートマチックトランスミッションも同じく日産グループに属する企業、ジャトコによって作られたJR710E/JR711E型がされています。
段数は7段変速で、構造的にはごく普通のトルクコンバーター式のオートマチックトランスミッションなのですが、トルクコンバーターのロックアップ範囲がかなり広いため、オートマチックトランスミッションながら滑りの少ないダイレクトな走りが可能です。

当然ながらマニュアルモードも用意されており、セレクターレバーの操作によって操作することができるだけでなく、ステアリングコラムにつけられているパドルでもマニュアル変速が可能となっています。

ボディ剛性・強度

このモデルは最近よくある大衆車ベースのスポーティーモデルとは違って、最初からスポーツモデルになるべくして作られた車です。
そのため、ボディ剛性や強度に関しても設計図の段階から考えられていて、通常の走行はもちろんのことボディにかなり負担がかかるスポーツ走行においてもかなりの剛性を保つことができるようなものが与えられています。

そもそもZ33型以降のフェアレディZは2シーター専用の比較的コンパクトなキャビンを持つボディを与えられていますので力学的にも有利な車です。

トヨタの大衆車ベースのスポーツライクなG’sやGRシリーズのように間違ってもサスペンションよりボディが動く方が先になることはなく、与えられたサスペンション構造がきちんと仕事をできるようになっています。

サスペンション構造

サスペンション構造においてもファアレディZでは「速く走るための道具」として最適なものが付けられています。
構造的にいえば・・・フロントにダブルウィッシュボーン、リヤにマルチリンクといった独立懸架がされているのですが、ボディ剛性もさることながらサスペンション構造を支えるメンバーやマウントにおいても高い剛性を持たされています

これによってサスペンションが素直に動き、固めに仕上げられているのにもかかわらずしなやかな動きができるため、まるでラグジュアリー系の4ドアセダンに乗っているかのような錯覚さえ覚えることもあります。

ホイールベースが短いことで懸念される直進安定性もサスペンションのセッティング、アライメントによってうまくカバーされているといっていいでしょう。

・・・とにかくよくできた足周りです。

日産・フェアレディZの燃費性能

フェアレディZはスポーツモデルですので、そもそも低燃費などに気にするような車ではありません。
低燃費装備も連続可変バルブリフト量・バルブタイミング機構とオルタネーター制御だけで十分です。

燃費性能も・・・

●カタログ燃費
・標準モデル:最大9.2km/L
・NISMOモデル:最大9.2km/L

●実燃費
・標準モデル:約7km/L
・NISMOモデル:約5.5km/L

といった低い数字でOKです・・・なぜならスポーツモデルだからです。
逆に燃費性能が気になる方はこういった車を買ってはいけません。

日産・フェアレディZのライバルは?

古くからフェアレディZのライバルはトヨタのセリカ、(のちのスープラ)と相場が決まっていたのですが、勇気のないトヨタは自社オリジナルのスポーツモデルを作ることから逃げ、セリカもスープラも生産終了させてしまっているので、現在のところ国産モデルの中ではライバルは存在しません。

そもそも2シーターで3リッターオーバーのエンジンを搭載したモデルがないのですからライバルに該当する車など見るけることができないのも当たり前です。

フェアレディZ NISMOとは?

フェアレディZにも最近の日産が好んで作るNISMOモデルが存在します。

このモデルは標準モデルの「Version ST」グレードをベースにそれに下記のようなNISMOモデル専用のパーツを取り付けたり、交換したりすることで作られています。

●NISMOモデルにされている専用装備・専用パーツ
・RECARO製スポーツシート
・本革・アルカンターラ巻3本スポークステアリングホイール
・車速感応式パワーステアリング
・スターターボタン
・本革巻シフトノブ・セレクターノブ
・本革巻パーキングブレーキレバー
・レッドステッチ入りコンソールブーツ
・ブラックアウトインテリア
・ドアトリム
・インテリアエンブレム
・280km/hスケールコンビメーター
・レッドステッチ入りインストアッパーボックス
・運転席・助手席レッドステッチ入りニーパッド
・LEDハイパーデイライト
・フロントバンパー
・ドアミラー
・サイドシルプロテクター
・リヤバンパー
・リヤスポイラー
・フェンダーモール(フロント・リヤ)
・エンブレム
・サスペンションキット(コイルスプリング、ショックアブソーバー、スタビライザー)
・高剛性コンプレッションロッドブッシュ
・パフォーマンスダンパー(フロント・リヤ)
・ストラットタワーバー
・フロントメンバーブレース
・ラゲッジアンダーブレース
・リヤアンダーフロアVバー
・等長フルデュアルエキゾーストシステム
・テールパイプフィニッシャー
・チューニングECU
・エンジンカバー
・タイヤ(ダンロップ SP SPORT MAXX GT600 フロント:245/40 リヤ:285/35)
・アルミホイール(レイズ製鍛造 フロント:19×9.5J リヤ:19×10.5J)
・高剛性ブレーキホース
・高性能ブレーキフルード

これによって標準モデルよりもら19psのパワーアップ、0.9kgf・mのトルクアップと更なるコーナーリング性能の向上を果たしています。

特別仕様車のHeritage edition(ヘリテージエディション)とは?

ヘリテージエディションは、2018年5月にされた特別仕様車です。
標準モデルのベースグレードにヘリテージエディション専用のボディカラーとインテリアパーツを与えた形で作られいます。

もっと細かく言うと・・・

●専用ボディカラー
・プレミアムアルティメイトイエロー+専用デカール
・ダイヤモンドブラック+専用デカール
・ブリリアントホワイトパール+専用デカール
・オーロラフレアブルーパール+専用デカール

●ブラックアウトドアミラー
●専用カラー・デザインインテリアパーツ
・ステアリングホイール
・センターコンソール
・ドアトリム
・シートトリム
・シフトノブ(ATはセレクターノブ)
・ニーパッド

といったものが与えられています。
これらを見てもこの特別仕様車は単なるドレスアップモデルであることがわかるでしょう。

特別仕様車のテーマはS30型の時代にアメリカで大人気となったスペシャルデコパッケージZZZAPで、いわゆるノスタルジックドレスアップモデルということです。

違いは見た目だけで走りは標準モデルと全く同じで、仮に中古車市場に出たとしても特別に高い価値がつくというようなものでもありません

まとめ

国産モデルで唯一の大排気量エンジンを搭載したFRスポーツという特別な車のフェアレディZ、ルノーの車種整理にも引っかからずにずっと販売されているのもやはり魅力があるからなのでしょう。

NAエンジン搭載というちょっと軟弱な一面もありますが、それでも一応300psオーバーのパワーを持っていることから走りを十分に楽しむことできる車に仕上がっているといえます。

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