レクサス

SUVになってしまったレクサスLX、クロスカントリー4WDでよかったのでは?

トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店で販売されているモデル、または販売しようとしているモデルに無駄な快適装備、営業マンの過剰ともいえるサービス、そしてそれを充当するかのような高額な販売価格をつけて車を売ることで有名なトヨタ・レクサス店ですが、販売店舗が変わってもその車のジャンルやカテゴリーは変えられないことがほとんどです。

例えばNXハリアーはどちらも大衆中型クロスオーバーSUVですし、CTプリウス中型大衆モデルUXC-HR大衆小型クロスオーバーSUVといった具合に、5店舗すべてにおいて車名は変わってもカテゴリーは同一のものとして販売されています。

しかし、中にはトヨタ・レクサス店で販売された時だけカテゴリーが変えられてしまったモデルもあるのです。
その1台がこのLXです。
ではこのLXがどういう車で、そしてどんなカテゴリーからどのようなカテゴリーに扱いが変えられてしまったのかを見ていきたいと思います。

トヨタ・LXってこんな車

LXが日本で発売されたのは2001年のことですが、実はレクサス店の本国にあたる北米エリアを中心とした海外では1996年に発売されていました。

そのモデルは、まだトヨタ・レクサス店がなかった時代の日本では「80系ランドクルーザー」として発売されていたもので、いわばランドクルーザーの北米レクサスバージョンといった感じです。
同じ車なので通常なら同じカテゴリーに属するもの同士ということになるわけですが、国内向けのランドクルーザーと北米レクサス店向けのLXとの間ではそうはならなかったようでカテゴリーの相違、「ねじれ国会」ならぬ「ねじれカテゴリー」が起こってしまったのです。

ではどう捻じれていたかといいますと、まずランドクルーザー・・・皆さんもご存知かと思いますので今さら確認するのも何ですが、若年層を中心に勘違いをしている方が結構いますのでここで改めて付け加えておきますが、この車はオフロードを走るため、道なき道を走るために作られた軍用車両あがりの「クロスカントリー4WDモデル」として作られた車です。
そして、対するLXは何かといいますと・・・それは「SUV」というカテゴリーです。

「あれ?ランドクルーザーってSUVでしょ?同じじゃないか」

こう思った方もいらっしゃるかと思いますが、それは間違いです。

そう思った方はきっとトヨタの販売戦略や無責任な自動車業界の売り文句、そして「素人知識の寄せ集め」である某百科事典サイトにすっかり洗脳されてしまっているのでしょう。
詳しくはこの後の項目でご説明いたします。

話を戻しましょう・・・日本国内でクロスカントリー4WDモデルの80系ランドクルーザーとして販売しているものをどうして「SUV」にしたのかといいますと、それはSUVにしてしまった方が売りやすいからです。

ここ最近、世界的にいわゆる「SUVブーム正しくはクロスオーバーSUVブーム)」があり、一時のハイブリッドカーではありませんが、「SUV」という文字が掛かれているだけ商品がバンバン売れるという傾向があります。
LXをクロスカントリー4WDではなくSUVとしたのは、そのブームに乗っかってしまおうということなのです。

この傾向は実はLXだけでなく最近ではどの自動車メーカーもそれにまつわる自動車を商売としている業界も、そして「クロスカントリー4WDモデル」だけでなく、「クロスオーバーSUV」や「なんちゃってクロスオーバーSUV」も含めてすべて「SUV」とする傾向があります。

それだけ商品を売るということに「ブーム」「流行」というのは重要なことなのです。

次にどうやってSUV化にしたのかという方法ですが、それはトヨタの真骨頂である後付けパーツとイメージ戦略でです。

80系ランドクルーザーにちょっといい快適装備や見栄えのするエクステリアパーツ、インテリアパーツをつけて、その車をこれでもかというぐらい高級感をイメージ付ける宣伝広告をしたのです。
アメリカ人もトヨタの販売戦略にはたじたじのようです。

こういった理由、こういったトヨタの作戦によってランドクルーザーというクロスカントリー4WDモデルが、北米レクサスで販売されているLXだけSUVにされてしまったというわけです。

この形は1998年のランドクルーザーのモデルチェンジにともなって発売された2代目LXのUZJ100型になっても受け継がれます。
ただ、このモデルでは新しい100系ランドクルーザーをそっくりそのまま北米レクサスに持ち込んでLXとしたということではなく、ランドクルーザー側がLXに寄せた形となる上級モデル「ランドクルーザー・シグナス」というモデルを日本国内で発売したことに違いがあります。
とはいってもランドクルーザー・シグナスも100系ランドクルーザーを飾り立てたものですので、通常のランドクルーザーと基本となる部分は全く同じですし、国内ではクロスカントリー4WDに属するモデルとして発売されています。

そして2019年3月現在において現行モデルとなっている3代目モデルのURJ200も、先代モデル、先々代モデルにならって、国内のトヨタ店からは200系ランドクルーザーとして、北米レクサスではLXとして販売されることになりました。

このモデルが発売された2007年には日本国内にもトヨタ・レクサス店が展開されていたので通常であれば北米レクサスで販売されればトヨタ・レクサス店でも販売されることになるのですが、日本国内ではランドクルーザーはあまり売れていなかったため、そこに更に名前ちがいのランドクルーザー、LXを販売したとしてもたいして売れないだろうといったことや今以上にトヨタ・レクサス店に対する悪評が強かったので、国内でのLXの販売を見送ることになりました。

しかし、日本国内でSUVブーム正しくはクロスオーバーSUVブーム)が広まったこと、トヨタ・レクサス店への風当たりが少し弱まったことから2015年にランドクルーザーとしてではなく、トヨタ・レクサス店のLXとして発売されるようになったのです。

これによってトヨタ・レクサス店で初めてのSUVが売られることになりました。

クロスカントリー4WDモデルとSUVってどう違う?

クロスカントリー4WDとSUVは一見すると似ていますが全く違いカテゴリーです。
例えるなら「シャンプー」と「リンス」の関係に近いでしょう。

同じようなデザインのプラ容器に入れられて、ラベルも似たような感じ、中に入れられているのも似たような匂いのする液体となっていて、一見すると同じようなものに見えます。
しかし、シャンプーは頭髪や頭皮の汚れを落とすことが主たる目的、リンスは髪の毛の保護が主たる目的です。

これと同じように見た目や大雑把な構造はそっくりですが、ランドクルーザーのようなクロスカントリー4WDモデルはオフロードを安全に安心して走るための車、SUVはある程度のオフロード走行を伴うアウトドアスポーツをする場所へと人間と荷物を運ぶための車です。

シャンプーとリンスを同じものとして見ない、使わないのと同じようにクロスカントリー4WDモデルとSUVを同じとしてはいけません。
そしてクロスカントリー4WDモデルSUV、そしてついでにクロスオーバーSUVも含めて間違えないようにしましょう。

トヨタ・LXのモデル構成・グレード構成

LXは基本的には単一モデル、単一グレード構成ですが、シートの数とそれにまつわる定員数の違いによって2つのモデルに分けられます。

モデル名としては「LX570」となりますが、その中で2列シートの5人乗りモデルと3列シートの8人乗りモデルに分かれます。
ランドクルーザーでも同じように5人乗りと8人乗りがありますがそれと同じと思えばいいでしょう。

駆動方式はパートタイム4WDベースのトランスファー付きフルタイム4WDのみで選択肢はありません。

5人乗りモデルと8人乗りモデルの装備の違いは、2列シートと3列シートの違いとそれに関わる装備の違いだけで、基本はほぼ同じといっていいでしょう。
ほぼモノグレードです。

トヨタ・LXの動力性能

LXに用意されているパワーユニットはたった一つ、ランドクルーザーに設定されていないLXならではのエンジンが採用されています。

5.7リッターNAエンジン

・エンジン型式:3UR-FE
・エンジン排気量:約5.7リッター
・エンジン形状:V型
・シリンダー数:8気筒
・バルブ構造:DOHC32バルブ

スペックは・・・

・最大出力:377ps/5600rpm
・最大トルク:54.5kgf・m/3200rpm

※リッターあたり:約66ps
※パワーウェイトレシオ:7.2kg/ps

このエンジンは、北米エリア向けモデルのピックアップトラック・タンドラ、タンドラをベースにして作られたSUVのセコイア、そしてランドクルーザーの北米向けモデルに搭載されているエンジンと同じものです。
5.7リッターという国産モデルとしては規格外の大排気量エンジンであるため、発生させるパワーとトルクのかなり高いものと見ることができますが、2リッターターボエンジンで300ps越え、3.7リッターNAエンジンで330psを超えるパワーを出すことができる現在のエンジン技術において5.7リッターというエンジン排気量を持っているこのエンジンで377psはちょっと残念です。

ただ、LXやこのエンジンを搭載するモデルは、基本的にアメリカ人向けであり、更に絶対パワーよりもトルクが必要とするオフロード向けモデルばかりですので、このエンジンで良いのかもしれません。

トヨタ・LXの走行性能

LXは200系ランドクルーザーとほぼ同じ構造を持つ車ですので、走行性能に関してもランドクルーザーレベルとなります。

要するに「ほどほどのオンロード走行性能」と「ずば抜けて優れたオフロード走行性能」を持つということです。

トランスミッション

ランドクルーザーとはエンジンが違いますので、それに組み合わされるトランスミッションもLXならではのものが採用されています。

形式的にはトルクコンバーター式のオートマチックトランスミッションで、トヨタでの名称は「8 Super ECT (スーパーインテリジェント8速オートマチック)」とされています。
このオートマチックトランスミッションは、LX以外にも過去にLSやGS、クラウンなどにも採用されていて、変速段数を8速に絞らない形を見れば、もっとたくさんのトヨタの車に採用されているものです。
現在では次第に「8-Speed SPDS」に変更されつつあるため、一昔前に大排気量エンジン搭載モデルでメインとなっていたオートマチックトランスミッションといえるでしょう。

性能面では特にこれといったものはなく、「可もなく不可もなし」といった感じですが、過酷な条件下で走ることが想定されている車に搭載されているものであるため耐久性はしっかりと考えらえているようです。

ボディ剛性・強度

このモデルはトヨタ・レクサス店ではSUVとして扱われていますが、もともとはオフロードをガンガン走ることができるクロスカントリー4WDモデルのランドクルーザーですから使用されているフレームもかなり強靭なラダーフレームが使われています。

モノコックフレームならもう二度と使い物にならないぐらいの大きな力がフレームにかかっても、その時は大きく捻じれたとしてもすぐに戻りますし、ラダーフレームの上に載せられているボディシェルもラダーフレームの動きに対応できるほどの柔軟性と強度を持ちます。

さすがクロスカントリー4WDモデルです。

サスペンション構造

LXに採用されているサスペンション構造はフロントにダブルウィッシュボーン、リヤにトレーリングリンク式コイルリジットサスペンションとなっています。

これを見て

「高額車なのにリヤサスペンションがトラックとか安物と同じリジットサスペンションなの?」

と思った方もいるのではないのでしょうか。

でも、LXはこれでいいのです。
LXは一応、SUVとされていますが本来はクロスカントリー4WDモデルです。
クロスカントリー4WDモデルでは優れた悪路走破性を持っていなければならず随所にそういった工夫がされているわけですが、その工夫のひとつとなるのがリヤサスペンションのトレーリングリンク式コイルリジットなのです。

このサスペンション構造は左右のタイヤがデファレンシャルギヤのケース、ホーシングによって物理的に結合されており、片側のタイヤの上下動が反対側のタイヤの動きに影響を与える仕組みなっています。

構造が簡素で強度も確保できることから古くから自動車のサスペンションとしてつかわれてきたのですが、左右のタイヤの動きがお互いに影響しあうことから乗り心地の悪化やロードホールディング性の悪化を招いてしまうので、高級車やスポーツモデルなどにはあまり使われなくなりました。

しかし、路面ミューの低いところを走ることが多いクロスカントリー4WDモデルやSUVではそれが逆にタイヤのグリップ性能を向上させることに繋がり、トラクションを無駄なく使うことができるサスペンション構造として積極的に使われているのです。

リジットサスペンションでは片側のタイヤが大きくバンプした状態、要するの片側のタイヤだけが大きなギャップに乗り上げた状態になるとホーシングとトレーリングアームの付け根を中心にして反対側のタイヤを路面に押し付ける方向の力が加わるのです。
それによってタイヤが路面をがっちりととらえて、滑りやすい路面でも走破することができるのです。

なので、実はリヤサスペンションのトレーリングリンク式コイルリジットでがっかりするのではなく、本来はフロントサスペンションとして与えられているダブルウィッシュボーンでガッカリすべきなのです。

まあ、ランドクルーザーもクロスカントリー4WDモデルとはだんだんSUV化してきていますし、LXに至ってはとりあえずはSUVということでオンロードでの走りも考えなければいけない車ですので、フロントだけは乗り心地重視の独立懸架になっても仕方がないのかもしれません。

それからサスペンション構造以外の点で特筆できるのは、ランドクルーザーにも採用されている「4-Wheel AHC&AVS(4輪アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンション&アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)」です。

これは油圧で車高調整ができる機能と走行状態に合わせて減衰力を自動調整する機能を持ったショックアブソーバーによって構成されているもので、マニュアル操作による車高調整機能の他に、停止時に車高を下げて乗り押しやすくしたり、高速走行をしている時に車高を落として安定性を高めたり、トランスファーをL4モードにした時に自動的に車高を上げるという機能を使うこともできます。
車高調整機能の他にも路面状況やスピードにあわせて減衰力を自動調整する機能もあります。

ただこの機能、確かに便利だと思うのですが油圧系統の故障が非常に多く、修理にもかなりのお金がかかることから、特にハードな使い方をするオーナーからはあまり好まれていないものらしいです。

トヨタ・LXの燃費性能

・カタログ燃費:最大6.5km/L
・実燃費:4km/L

LXは、ベースモデルのランドクルーザー同様に設計自体は2007年と古く、それにもともと燃費性能を気にするような車ではないため、いわゆる低燃費装備もほとんど付けられておらず、燃費性能もあまり良くありません。

トヨタ・LXのライバル、ではなくランドクルーザーとの比較

大型SUVであるLXのライバルとなるのは、トヨタ以外の国産モデルの中では三菱のパジェロぐらいしかありませんが、ここではライバルというより、トヨタ店で販売されているこのモデルのベース車両、ランドクルーザーと比較してみましょう。

エンジンスペック比較

●LX570(8人乗りモデル)

3UR-FE型
5.7リッターV型8気筒DOHC NAエンジン
・最大出力:377ps/5600rpm
・最大トルク:54.5kgf・m/3200rpm

●ランドクルーザー(「ZX」グレード)

1UR-FE型
4.6リッターV型8気筒DOHC NAエンジン
・最大出力:318ps/5600rpm
・最大トルク:46.9kgf・m/3400rpm

同じエンジン系統ながらエンジン排気量が約1リッターも違うので、パワースペックにこれだけの差がつくのも当然だと思います。
どちらもかなりパワーのあるエンジンが搭載されている形となっていますが、2.5トンを軽く超える車両重量のことを考えるとやはりLXぐらいのパワーは欲しいものです。

燃費比較

●LX570(8人乗りモデル):6.5km/L
●ランドクルーザー(「ZX」グレード):6.7km/L

一言、「団栗の背比べ
LXのオーナーであり続けるには、ガソリン代も相当用意しておかなければならないようです。

販売価格帯比較

●LX570(全モデル):1115万円
●ランドクルーザー(全モデル):約474万円~約685万円

LXはトヨタ・レクサス店販売のモデルですからこれくらいの値段になっても至極当然ですが、それにしてもエンジン排気量が1リッター違うだけで500万円以上の価格差もあるのは驚きというか、唖然です。

こうして大きくなっていったのですね、トヨタという企業は・・・。

まとめ

本来はオフロードを走るために作られたクロスカントリー4WDモデルだったのに、それでは売りにくいということで後からゴテゴテといろいろな飾りや快適装備をつけ、エンジン排気量を拡大して無理やりSUVにされてしまったかわいそうなLX、ランドクルーザーは決して悪い車ではなく、むしろ日本が誇る大型クロスカントリー4WDモデルと言えるぐらいいい車なのに、どうしてそれを一度ぶち壊すような形でSUV化したのかがちょっと理解しかねます。

LXとして売るにしてもランドクルーザーそのままで、HSやNXのようにバッジエンジニアリングに近い形の兄弟車として、バリバリのオフロードマシンとして売っても良かったのではないでしょうか。

そこまでしてでも、どうしてもトヨタはどこよりもたくさんの車を売りたいようです。

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