レクサス

ESがトヨタ・レクサス店でもほとんど売れていない5つの理由とは!?

2018年にトヨタのレクサス店から新しいモデル、「ES300h」が発売されました。
既存のあるモデルに何から何までそっくりなこの車・・・残念ながらほとんど売れていないようです。
どうしてこのトヨタ・ES300hが売れないのか、その理由を探ってみましょう。

トヨタ・ESってこんな車

トヨタのESは2018年10月にトヨタ・レクサス店専売モデルとして発売されたモデルです。
位置的には、LS、GSに続くトヨタ・レクサス店で販売されるラグジュアリーセダンの最下位モデル、要するに廉価モデルとして発売されているものですが、廉価モデルといってもトヨタの販売店の中で一番ガッポリ儲けができ店舗であるトヨタ・レクサス店での販売となりますので、そこそこいい金額をつけて販売されています。

実はこのモデル、日本国内でのトヨタ・レクサス店から発売されているESとしては2018年10月がスタートとなりますが、北米レクサス(元・レクサス)では、レクサスが北米エリアで営業をスタートする際に用意された第1期モデルのLS(日本名:セルシオ)と共に発売されていたものだったのです。

日本国内で発売されなかった理由は、LS同様に日本向けモデルがあったからです。
当時の日本ではこの車をカムリの上級派生モデルとして販売されていたカムリ・プロミネントとして発売していました。
正確にいえばこのカムリ・プロミネントを当時の北米レクサスで販売したものがESということになります。

当時のトヨタは国内向けと北米向けで同じ車でも違う車名をつけて売っていたので、国内向けESというのは存在しないわけです。

このカムリ・プロミネントの転用モデルであるESが発売されたのは1989年のことでした。
その後、1991年にフルモデルチェンジが行われましたが、その際に日本国内向けのカムリ・プロミネントと並行して、そのモデルの将来的な後継モデルとなるウィンダムというモデルが発売され、2代目ESからはそのウィンダムを転用のベースとしたのです。
ここで日本国内はウィンダム、北米エリアではESという形が出来上がりました。

この形は2代目モデルのみならず3代目モデル、4代目モデルにおいても取られていたのですが、国内向けモデルであるウィンダムが思いのほか絶不調で3代目モデルを最後に生産終了となってしまったのです。
ESのような転用モデルは、ベースとなるモデルがなくなるとそのモデルもなくなることになるわけですが、北米レクサスにおける商品数が少なくなってしまうことを避けるために、ウィンダムのベースモデルであり国内でのウィンダムの統合先であるカムリを新たな転用ベースモデルとしたのです。
この時点で「カムリの転用モデルのES」というスタンスができ、国内はカムリ、北米エリアはESという形になりました。

おりしも2006年は、北米エリアでトヨタの高額車両を売るために作った販売チャネル、北米レクサス(当時はレクサス)を日本に持ち込んでトヨタ・レクサス店として展開を始めた年です。
ここで普通なら北米レクサスで販売されているESもトヨタ・レクサス店で販売されることになるわけですが、ウィンダムで悲惨な光景を見てしまったこととカムリと統合させたこともあって、「日本国内はカムリに一任!」というわけではありませんが、ESは日本では発売されませんでした。

この形は2006年に発売された5代目モデルGSV40L型から2012年に発売された6代目モデルのV60L系まで続きます。
そして2017年、カムリが国内市場でフルモデルチェンジを行って10代目モデルのXV70系モデルとなったことによってベースモデルがモデルチェンジを行ったのですから当然のごとくESもモデルチェンジされ7代目モデルAXZH10型となりました。
時はカムリのモデルチェンジから遅れること1年と3か月となる2018年10月でした。

そしてこのモデルから国内向けのカムリがあるのにもかかわらず、儲けが多いトヨタ・レクサス店でも販売することになり、ESが初めて日本でも売られることになりました・・・といっても結局はカムリですので新鮮さは全くありません。

トヨタ・レクサス店のES300hとカムリの違い

先ほども言いました通り、ES300hはカムリをベースとして作られた転用モデルです。
従って、共通する部分が非常に多いわけですが、巧みな販売戦略を武器とするトヨタカムリとESを何とか完全に違う車として見せたいようで、いろいろな手段を使って両車の表向きの関係性を断とうとしています。

まあ、一般消費者の方はこういったことに騙されて買ってしまうわけですが、ここではそうならないために両車の違いをはっきりさせておきましょう。

●同じ部分
・プラットフォーム
・シャシー基本構造
・サスペンション
・搭載エンジン(パワースペックも同じ)
・搭載駆動用電気モーター(パワースペックも同じ)
・ハイブリッドシステム
・トランスミッション
・ブレーキ

●違う部分
・ボディ形状
・シャシーの一部(ESではホイールベースのみ45mm延長されている)
・エクステリアパーツ
・インテリアパーツ
・付加装備、快適装備
・装備の名称

こうしてみるとよくわかるかと思いますが、自動車としての基本構造は同じで、見た目の部分や聞こえが違うだけ、そっくり度数:95%」といった感じです・・・これでは素人さんは騙されてしまいます。

トヨタ・ESのモデル構成・グレード構成

北米レクサスや中国レクサスでは複数のモデルを販売していますが、トヨタ・レクサス店では1モデルだけの販売とされています。

ES300h(ハイブリッドモデル)

このモデルには3つのグレードが用意されています。

・標準グレード
・バージョンL グレード
・F SPORT グレード

駆動方式はFFの2WDのみとなります。

かなり装備が充実しているといってもいい標準グレードを基準にして、それに・・・

・パフォーマンスダンパー
・スウィングバルブショックアブソーバー
・235/45タイヤ(標準グレードは215/55タイヤ)
・18インチ×8Jアルミホイール (標準グレードは17インチ×7.5J)
・上下2段式アダプティブハイビームシステム
・ブラインドスポットモニター
・パーキングサポートブレーキ(後方接近車両・歩行者)
・パノラミックビューモニター
・ITS Connect
・三眼フルLEDヘッドランプ
・LEDシーケンシャルターンシグナルランプ
・ヘッドランプクリーナー
・マルチウェザーライト
・アンビエントイルミネーション
・ハンズフリーパワートランクリッド
・カラーヘッドアップディスプレイ
・手動サンシェード (リヤドア・リヤクォーター)
・運転席10Way&助手席8Way電動調整機能付セミアニリン本革シート
・後席電動リクライニング機能
・コントロールパネル付後席センターアームレスト
・S-FLOW制御付3席独立温度調整オートエアコン
・アクセサリーコンセント

を追加したのが「バージョンL」グレードとなります。

スポーティードレスアップグレードの「F SPORT」グレードは、標準グレードに対して・・・

・リヤスポイラー
・「F SPORT」グレード専用フロントグリル
・「F SPORT」グレード専用サイドガーニッシュ
・「F SPORT」グレード専用リヤバンパーロアガーニッシュ
・「F SPORT」グレード専用ラゲージドアガーニッシ
・パフォーマンスダンパー
・NAVI・AI-AVS
・235/40タイヤ
・「F SPORT」グレード専用デザイン 19インチ×8J アルミホイール
・上下2段式アダプティブハイビームシステム
・三眼フルLEDヘッドランプ
・LEDシーケンシャルターンシグナルランプ
・ヘッドランプクリーナー
・マルチウェザーライト
・Sport S・Sport S+・Customモード付ドライブモードセレクトスイッチ
・「F SPORT」グレード専用TFT液晶式メーター
・「F SPORT」グレード専用ディンプル本革ステアリングホイール
・「F SPORT」グレード専用ディンプル本革セレクターノブ
・「F SPORT」グレード専用アルミ製スポーツペダル
・「F SPORT」グレード専用アルミ製フットレスト
・「F SPORT」グレード専用アナログクロック
・「F SPORT」グレード専用L texスポーツシート

といった装備を追加したものとなります。

他のレクサス店専売モデル同様に「F SPORT」グレードはあくまでもスポーティードレスアップグレードですので、これを選んだからといって他のグレードよりも動力性能・走行性能が優れているということはありません。
単に見た目やイメージがスポーティーになるだけです。

トヨタ・ESの動力性能

トヨタ・レクサス店で販売されているESは2.5リッターハイブリッドモデルのみの販売となるため、パワーユニットもたった一つとなります。

●エンジン
・エンジン型式:A25A-FXS
・エンジン排気量:約2.5リッター
・エンジン形状:直列
・シリンダー数:4気筒
・バルブ構造:DOHC16バルブ
・燃料供給:半直噴

●電気モーター
・形式:3NM型

このパワーユニットの組み合わせはカムリに搭載されているものと全く同じで、クラウンの2.5リッターハイブリッドモデルにも採用されているものです。

電気モーターは、プリウスなどに搭載されている1NM型をパワーアップさせたもので、トヨタの多くのハイブリッドモデルに使われている系統の1つとなるものがつかわれています。

ちなみにハイブリッドバッテリーはニッケル水素バッテリーです。
ニッケル水素バッテリーといえば、バッテリーのメモリー効果によるトラブルが続出しているものですが、あれだけアクアや昔のプリウス、ハリアーなどでバッテリー交換をしなければならないほどの故障が多発していたのに新しいモデルにもまた使うのですか?・・・ちょっと呆れます。
きっと修理費用でも儲けようとしているのでしょう。

スペックは・・・

●エンジン
・最大出力:178ps/5700rpm
・最大トルク:22.5kgf・m/3600rpm~5200rpm

●電気モーター
・最大出力:120ps
・最大トルク:20.6kgf・m

※システムパワー:218ps
※リッターあたり:約87ps
※パワーウェイトレシオ:7.9kg/ps

となります。
2.5リッターエンジン搭載、最大1.73トンの車両重量を持つ車で218psとは・・・都内によくあるノロノロ運転ならいいですが、地方の幹線道路や高速道路などでは結構な我慢を強いられそうです。

トヨタ・ESの走行性能

トヨタ・レクサス店で販売されている車、北米レクサスでも販売されている車といっても所詮は日本国内仕様のカムリ以外の何物でもありません。
カムリは高齢ドライバーが運転してのんびり走る時に使うような車ですので、それをベースにしてほとんど手が加えられていないES300hも同じような用途向けの車としての性能しか持たされていません。

トランスミッション

トランスミッションはハイブリッドシステムの一部として構成されているギヤ式の無段変速機となります。
アクアやプリウスなどと同じようなごく普通の無段変速機ですので、取り立ててどこが悪いとかどこがいいというのものはありません
唯一褒められるところといえば、センターコンソールにセレクターレバーを設置したことでしょう。

ボディ剛性・強度

ESが大衆FFセダンであるカムリの兄弟車であることが一番強く出ている部分がこのボディ剛性です。

今回のモデルからプラットフォームがGA-Kプラットフォームになり、それによってボディ剛性が増したなどとカタログや自動車メーカーに忖度しているジャーナリストの記事で書かれているところを良く見ますが、なんてことはない先代モデルで使っていたKプラットフォームと基本的に何一つ変わりはありません。

これは言葉のトリックです。
それまでトヨタは、コストを低くするために既存の車種で使っているプラットフォームを切った貼ったして新しいモデルに使うということをしてきました。
しかし、そういったことをしていることが広く知られるようになってしまい、そこからイメージダウンとなってしまう可能性があるため、それを正当なことであるということを宣言するためにプラットフォームを切った貼ったすることを含めたTNGAという概念を公表し、それまで行ってきた「プラットフォームの使いまわし」を正当化したわけです。

先代モデルのKプラットフォームも切った貼ったで古いプラットフォームをつなぎ合わせた形で設計が行われていてESに採用されているGA-Kプラットフォームと何一つやっていることは同じです。
なので「新しいプラットフォームを採用」は間違いで「新しいプラットフォーム名称を採用」が正解です。

Kプラットフォームは大型FFモデル専用のコスト削減のためのものですので、設計時点でボディ剛性や耐久性がかなり乏しいです。
そして更にコスト削減のために鋼材の質を落とし、厚みを薄くしたことで1万キロ走っただけでガタが出る車体の出来上りです。

サスペンション構造

トヨタ・レクサス店で販売されている車とはいえ、ベースが大衆車ですからサスペンション構造にもお金がかかっていません。
フロントにマクファーソンストラット、リヤにダブルウィッシュボーンといった感じで、一応は四輪独立懸架となっていますが、格上モデルのGSやLSと比べると若干しょぼさを感じます。

まあ、FFモデルのESをGSやLSのFRレイアウトを持つ車と比較するのも少々無理があるかもしれませんが、安くても580万円もする車としてはチープさを感じることになります。

減衰力の自動調整機能があるスウィングバルブショックアブソーバーもおまけのようなものです。
北米エリアで求められる「まっすぐゆっくりと走る」ということだけに徹した構造とセッティングを持つといっていいでしょう。

トヨタ・ESの燃費性能

このモデルにはトヨタご自慢のハイブリッドシステム、THS-IIが搭載されています。
THS-IIといえばアクアやプリウスなどといった大衆ハイブリッドモデルで優れたカタログ燃費を発揮させることで有名なハイブリッドシステムですから、いやがおうにもES300hでも期待をしてしまいます。

・カタログ燃費:最大23.8km/L
・実燃費:約12km/L

やはりトヨタの車のカタログ燃費は信用できません。
12km/Lという数字は、より実燃費に近いとされる燃費計測規格であるWLTCモードの市街地モード16.6km/Lよりもかなり低い数字です。
カタログ燃費が23.8km/Lなら最低でも実燃費が18km/Lをきらないようにしなければいけません。

パワーもない、燃費性能も思ったより良くない・・・誰がこんな車を買うのでしょうか。

トヨタ・ESのライバルは?

2.5リッターNAエンジン、ハイブリッドモデル、FF、ノッチバックセダン・・・この条件にピッタリなモデルはこのES300hかその兄弟車であるカムリしかありません。
兄弟車同士を比べても何の意味もありませんので、ここでは2.5リッターNAエンジンではなく格下モデルとなりますが2リッターNAエンジンを搭載したFFハイブリッドモデルのホンダのアコードと比べてみましょう。

アコードは2013年に発売されたCR7型が2019年3月時点での現行モデルとなります。
このモデルも日本ではハイブリッドモデルだけが販売されていて、その点はESによく似ていると思います。

エンジンスペック比較

●ES300h

エンジン:A25A-FXS型
電気モーター:3NM型
ハイブリッドバッテリー:ニッケル水素バッテリー

の組み合わせでスペックは・・・

エンジン
・最大出力:178ps/5700rpm
・最大トルク:22.5kgf・m/3600rpm~5200rpm

電気モーター
・最大出力:120ps
・最大トルク:20.6kgf・m

※システムパワー:218ps

となります。

●アコード

エンジン:LFA型
電気モーター:H4型
ハイブリッドバッテリー:リチウムイオンバッテリー

の組み合わせでスペックは・・・

エンジン
・最大出力:145ps/6200rpm
・最大トルク:17.8kgf・m/4000rpm

電気モーター
・最大出力:184ps
・最大トルク:32.1kgf・m

※システムパワー:215ps

となります。

アコードの方がエンジン排気量が500ccも少ないのに、電気モーターのパワーがかなり高いため、エンジン排気量の差をものともせずに2.5リッターエンジンを搭載したES300hとほぼ同じようなシステムパワーを持つことができています。
システムパワーの3psなど、ほとんど誤差に近いものですので、両車は同じの動力性能を持っているといっていいでしょう。

燃費比較

・ES300h:最大23.8km/L
・アコード:最大31.6km/L

エンジン排気量が小さい分、アコードの方が有利に働くのはわかっていましたが、カタログ燃費だけを見てもこんなに差があるのは驚きです。
「天下のTHS-II」も台無しです。

販売価格帯比較

●ES300h:580万円~約699万円
●アコード:385万円~410万円

パワーも劣る、燃費も劣る、なのに価格だけは勝るようです。
ちなみにES300hの兄弟車であるカムリは・・・

●カムリ:約330万円~約435万円

となっています。
この金額ならアコードと比較しても「こんなものでしょ」といえますが、さすがにトヨタ・レクサス店のES300hの価格は高すぎます。

ちなみにES300hとカムリの価格を比べてみたら平均してだいたい240万円ほどES300hの方が高くなっています。
ということは、この金額がトヨタ・レクサス店で買った時に買う側が損をする金額です・・・それとも「俺の車はレクサスだ!」というための費用でしょうか。

まとめ

せっかく勇気を振り絞って日本市場に投入したのにほとんど売れないES、こうやって色々見てみるとどうしてこのESが売れないのかがよくわかりました。

  • レクサス店といても結局はトヨタだから
  • カムリとほぼ同じだから
  • パワーがないから
  • 燃費性能があまり良くないから
  • 目玉が飛び出るほど高額だから

この5つの理由がある限り、日本国内でESが大ヒットすることはないでしょう。

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